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第3章 報酬と楽穴
「意外と常識人なんですね。結構遊んでるって噂なのに」

先月、タウン誌のイケメン特集とやらに、アキラさんの命令で参加させられた。
それで、ここの所結構オイシイ思いをさせてもらっている。

どうやらその噂をこの子も耳にしているらしい。

「うん。だからかな。別に不自由してナイんだよね~」

その場を後にしようとした時、その子がスマホで何かを確認して、背中に投げかけてきた。

「エリック・リントンって選手、好きなんですよね?」

彼女が名前を言ったのは、イギリスの往年のサッカー選手だ。

もう何年も前に引退したが、全盛期はすごい人気で。
今はその人気とスタイルを維持して、モデルのような仕事を次々とこなしている。

「私の叔父が、大手時計メーカーに勤めているんですけど」

彼女が口にしたメーカーは、エリックが長年広告をしている有名ブランドだ。
高級過ぎて購入したことはないが、CMはよく目にするから知っている。

「今度ニューモデルの宣伝で来日するんですよ。記念パーティのチケット、よかったら手に入りますけど」

「マジ!!!」

思わず食いついてしまった。
そのぐらい、エリックと会えるのは貴重なことだ。

パーティチケットは、出回ることはほとんど無いらしいが、オークションにでも出回れば、きっと何十万という高値がつくだろう。

「では。交渉成立ですね」

おっとり純朴そうに見えたマナミと違って、このコはなんだか理論的というか、計算高いというか...。

「...わかったよ。ホントにチケット大丈夫なんだろうな」

やっぱり手に入りませんでしたー。
と、後から言われたら、意味はない。

「大丈夫です。私の事が信用ならないのなら、チケットが届いてからにしますか?」

そうは言っても、もうすぐ夏休みに入るし。
面倒な事は早く済ませたい。

「いいよ。キミがいいなら、今日これからでも。夜バイト入ってるから、あんま時間ナイけど」

真昼間ではあるけど、空いてる時間があまりナイのだから仕方ない。
ムードも何も必要ナイのだから、別にかまわないだろう。

「本当ですか!」

何でも彼氏の誕生日がすぐ近くに迫っていて、その時は仲良く過ごしたいらしい。

しかし、捨てたいのに色んな理由があるものだ。

そのナオミというコと連絡先を交換して、一旦別れ、別々にホテルへと向かった。









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