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第3章 報酬と楽穴
もう連絡もナイだろうと完璧に忘れてたある日、サキから連絡が入った。
ゆうに2週間は経っていたように思う。

てっきり、もう辞めるという内容かと思ったのに。
何事も無かったように、次の日を聞いてきた。
それと同時に、注文していたモノが届いたから。という内容だった。

そーいや、お礼に何が欲しいか聞かれて、テキトーにワークブーツが欲しいと言ってしまった気がする。

以前から欲しかったヤツで、なかなか手が出なかったブランドのブーツだ。

うん。まあ、貰っとこう。

そんな軽い気持ちでまたサキに会うことにした。




「でー。シャワー浴びてる間にさぁ、もう心臓がヤバくなってー、『じいちゃんが危篤ってー』ってウソついて逃げて〜」

どうやらサキは、あれから誰かとトライしよーとして。
要は怖気付いて逃げ出したらしい。

「だからぁ。やっぱ慣れるまでリョウに頼むわ。てことでー、これ」

怒涛トークの最後に、手に持った大きな紙袋を押し付けられた。

「私も注文してたの忘れてて〜。持っててもしょーがないしさ。だから、...まぁ、そーいうこと」

「おお。サンキュ」

サキの云々はとりま置いといて。
何せブーツに罪は無いんだしね。

取り出したブーツは、ずしっとした重量感と、高級な革の新しいイイ匂いがする。

「マジ高かった!」

だろうね。俺もマジで買ってくれるとは思ってなかった。
半ば、サキが諦めてくれるかもと願ったのもあって、吹っかけたのだ。

「だから、今日はホテルにしたけど、次からリョウの部屋ね!」

「はぁ!?何それ、嫌だね」

「何でよ!じゃあブーツ返して!」

手に持った片足は死守したものの、床に置いてたもう片方はサキに奪い返された。

「だって、ここって結構知った人来るんだもん!」

小さな街で。
しかも、学生が歩いて行ける範囲のラブホは限られてくる。
どちからというと、車で行ける郊外タイプがこの田舎街には多いのだ。

「俺は別に構わないし」

「私は構うの!!」

何でも、前回1人サキを置いて帰った時、知った顔とホテルの前で鉢合わせそうになったとか。

「私のトコ、管理のババァが超ウルサイしー」

サキは、管理人のおばさんが住み込みで働いている、男子禁制の女性専用のマンションに住んでいる。
早朝でも深夜でも目を光らせていて、何かと口を挟むらしい。
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