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第4章 稜の秘密
ダイニングのイスに座って、稜がやってたように膝を曲げ両足を上げる恰好をしてみる。

「ちょっとヤダ!そんな恰好してない!」

「だって、ホントにこうやってたって!いや、こう?」

箸を股間に添える。

「もう!ゴハン食べてったら!」

あ。やべ。やり過ぎた?
怒ったかも。

足を降ろして、箸もテーブル置いて。

「ごめんね。つい、さ。ショックの反動で」

「ショック?」

顔をしかめていた稜が、少し驚いた顔をしている。

「そら、ショックっしょ。奥さんがオモチャ使って夫で賄いきれないヨクボウを満たしてるんだって分かったらさ」

「えっ!」

「毎回満足出来てなかったのかー、とかさ。しかも、それを言えないでいたのかー、とかさ」

時間にしたら、ほんの数分の出来事だろうけど。
すっごく重苦しくてキツくって、めちゃくちゃ長く感じた。

カンチガイだったと分かった今でも、あの瞬間の事はあまり思い出したくないかもしれない。

「ま、満足してるよ!毎回、十分過ぎるぐらい!」

ぶっ!!!

箸を握りしめてガッツポーズのようにして稜が力説するから、思わず吹き出す。

「...あれ。やだ。ちょっと何言わすの!」

「えー。俺、言わせてないけどー」

稜に近付いてその体を抱きしめる。

真っ赤な顔して、何もなかったみたいにふるまってもダメだって。
可愛い過ぎるだろ。

「ちょっと。食べてるから」

「じゃ、稜も箸置いてー」

「羚汰こそ食べようよ。冷めちゃうから」

逃げようとする稜の体を引き寄せて、その胸元に顔を埋める。

あー。いい匂い。

稜もなんだかんだと言いながら、俺の髪をふわふわと撫でている。
くすぐったくて、気持ちいい。

その場で顔を上げ唇を近付けると、稜も少し近づけて軽く重なる。


「マジでさ。なんかシテ欲しい事とか、言ってね?」

「え?」

「あんまり稜、言わないからさー」

反応で分かってるつもりだけど、本当はもっとこうして欲しいってのがあるかもしれない。
タッチの仕方。キスの深さ。焦らすタイミング。

数えきれない稜の1つ1つの欲望をもっと分かりたい。

彼女自身も知らない部分も、全て。

「いつでも教えて。...今でもいいし。何かある??」

「...あるよ」

珍しく稜が言い切った。


「今はゴハン食べて!」

胸元に顔を寄せたまま、吹き出した。
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