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第6章 新婚初夜?
「むり...」

そう声を発するのもやっとだ。

体を覆う倦怠感が、稜をベッドに縫い付けたかのように感じる。

そんな様子を楽しそうに笑って、飲みかけの水を差し出してくれる。

叫ぶように声を上げたから、喉がカラカラだ。
なんとか体を起こそうと力を入れてー。

差し出されたハズのペットボトルを羚汰がまた飲みだした。

「えー」

くれるのかと思ったのに。

ふふっと笑った羚汰が近づいてきて、折角起きかけた体がまた沈められ、口が重なる。

「っ!」

驚いていると、その開いた唇から水が入ってきた。

「!!...んうっ。んっ」

「っ。下手くそ~」

大部分が口から零れて、稜の首筋に垂れてゆく。
それを笑いながら、慌てる稜の顔周りをティッシュで羚汰が拭ってまわる。

「だって~!」

「はい。もいかーい」

怒る間もなく、次がやってくる。
今度は、と口を大きく交わしてなんとか受け止めようとする。

それでもいくらかは零れてしまう。
羚汰は楽しそうに笑って、つつつと零れたのを今度は舌で拭う。

「ちょっと、やだ~」

難しいし、零れたらくすぐったいし、何よりたいした量は飲めない。

「あははは!」

楽しそうに声に出してまで笑う羚汰から、ペットボトルを奪い取る。

「もう!」

ごくごく飲み。
やっと喉を潤すことが出来た。

気付くと、抱き抱えるようにした羚汰が後ろから覗き込むようにしてキラキラした目をこちらに向けている。

「しないよ!もうナイし」

「えーー」

水が残り少なくなってたと分かってたとは思うが、抱きしめる腕に力を入れて駄々をこねる。

くすぐったくて、2人でベットの上で転がって笑いあう。

「...羚汰?買い物行くんでしょ」

「うん。そうなんだけどさぁ」

いつものように後ろから羚汰が密着し、手足が絡まっている。

さっきまで出掛けようとしていたのに、すっかり落ち着いてしまったようだ。

「お腹空いたよ」

「うん。だね。はぁー」

羚汰が全く離れそうにない。
ぐるりと向きを変えて羚汰と向き合う。

「おでんがいいな!そこのコンビニの」

「あー、おでんいいね〜」

「ね!」

羚汰の瞳を覗き込んでいると、唇が近付いて、ちゅっと重なる。

「分かった」

意外にモノワカリが良くて少し驚く。
いつもの羚汰ならもうちょっとゴネるかと思った。
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