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調教ごっこ
第1章 悠香の秘密

 「しかし意外だな、姉ちゃんがこんな小説書くなんてさ。しかも結構ハードコアだし」

 机の椅子に跨がり、悠樹はクスクスと笑った。

 「あ、もしかして姉ちゃん……ドM系?」
 「ち、違うわよ……これは文学、文学なの」

 恥ずかしさのあまり、悠香の顔は林檎のように赤くなっていた。
これだけは絶対に人に知られたくない、そんな秘密を悠樹に知られたのだ。
ましてや主人公の名は自分と同じ名前である。
自分の性癖を知られたも同然だった。

 「まぁいいけどさ。つーかさ、続きどうなんの?いいところで放置じゃん。あ、もう一本もらうよ」

 ニヤニヤと悠香を見つめ、悠樹はタバコをプカプカと吸い始めた。

 「う、うん……それなんだけど───」

 小説の話になると悠香は少し冷静を取り戻した。
「被虐の放課後」は悠香の妄想を勢いだけで書いた小説である。
ストーリーに行き詰まっても誰かに相談できるわけもない。
だが、もし悠樹が話を聞いてくれるならば、恥ずかしさはともかく、なんにせよ心強い感じがしたのだ。

 「なんだか途中で行き詰まっちゃって……。なんていうか……主人公の心理描写が上手くいかないの」
 

 「ふーん……、じゃあさ────」

 モクモクと漂う煙の中、悠樹は悠香を見つめた。

 「姉ちゃん、俺が調教してやるよ」
 「は?」

 悠樹の意外な言葉に悠香はポカンと口を開けた。

 調教?ユウ君が?私を?


 「な、な、なに言ってんの?」

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