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ちょいS部長の羞恥レッスン
第15章 フットサル
 すると出場から数分後、璃子にシュートチャンスが訪れる。

 弱々しいシュートに終わったものの、相手ゴレイロ(ゴールキーパー)に当たったボールに、味方選手がつめてくれて、ゴールとなった。

 何はともあれ、一応璃子がアシストした格好だ。

 近寄ってきてハイタッチをしてくれるチームメイトの中に、藤崎の姿ももちろんあった。

 璃子が何より驚いたことに、口元に笑みを浮かべながら「よくやった」と言ってくれた藤崎。

 今まで職場では、何度か同じ褒め言葉を藤崎から貰ったことはあるのだが、そんな時藤崎はいつも決まって無表情だったので、驚きのあまり璃子は固まってしまう。

 それでも璃子が咄嗟に「ありがとうございます」と答えると、次の瞬間には藤崎の表情はいつもどおりの冷たいものに戻っていた。

 その後すぐ、璃子は交代で再びベンチに下がったが、さっき見た藤崎の笑顔が脳裏に何度も甦ってくる。



 やがて試合は、藤崎たちのチームの勝利で幕を下ろした。

 両チームの選手たちが健闘をたたえあう中、璃子もその輪に加わっていたが、藤崎が再び白い歯を見せて笑っているのを見て、再び驚く。

 そして心の中で、「高虎さんはこんな表情もするんだ」と璃子は呟いていた。




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