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第19章 旅行

「そろそろ出ようか」

会話もなく、ただまったりとお風呂に浸かる。
もちろん最後までタカダがチヨに触れることはなかった。

お湯から上がったチヨの体を、優しくタオルで拭き取ってくれるけれど、その手つきはいつものいやらしさなど微塵もなくて、親が子供にするように事務的だった。

脱ぎ捨てられた浴衣をタカダの手で着せられ、タカダがのんびりと窓際の椅子で寛ぎ始めた頃には、チヨは疑問だらけだった。

その様子に気づくこともなく、タカダは備え付けの受話器を取ると、簡単なおつまみと冷酒を頼んでいた。

「やることもないし。お風呂上がりに飲もうか」

「はい」

事後承諾だったけれど、チヨは笑顔を見せる。