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第19章 旅行
「まだ23時かぁ。旅館って時間の流れが遅いよね」

軽く酔いが回り、ほのかにピンク色のチヨは頷く。

「ね、明日は早起きして、露天風呂で朝焼け見るってのはどう?」

「はい、見たいです」

「そう。じゃあ明日に備えて寝ますか」

「え、もう?」

「だって朝焼け見るなら5時前には起きないと?」

「あ…、そうですね」

チヨの言葉に、タカダは微笑むと布団にチヨを促す。
言われるがままに布団に入ると、タカダが部屋の電気を消した。
ごそごそと隣の布団に寝転ぶタカダが、消し忘れた露天風呂から入るほのかな明かりで見える。


「おやすみ」

「あ、はい。おやすみなさい」

慌ててチヨも枕に頭を置く。

横を見ると、チヨに背を向けるように寝るタカダが見える。


しばらくそのまま、チヨは目を閉じて眠ろうとするも、なぜか目ははっきりと冴えていて、眠れる気配がない。
タカダからは微動打にせず、寝てしまったのだろうか。


チヨは一旦気を取り直そうと体を起こした。


眠れない。
なんで?

わかってはいる。
わかっているけれど、どうしよう。

チヨが眠れそうにない体を布団から抜き、そっと窓際の椅子に腰掛けると、タカダが起き上がった。


「どうしたの?眠れない?」
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