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夢…獏の喰わぬ夢
第8章 変化
彼女なのだろうか、そうよんでいいのかわからないが、
「今日はたまたまで、いつもではないんですが。」
「若いってのは、いいことだ。うらやましいと思うよ。突然バイトしようなんて、彼女とのデート代かプレゼントか?」
雇われているから、何でも答えなければならない訳ではない。
しかし、昨日まで客の立場で見ていたこの人が、気さくな人だと分かり、僕は答えた。
「誕生日があとひと月ちょっとと分かったんでプレゼントは自分の働いたお金で用意したいと、
貼り紙を見て、思い立ったんです。」
「そうか、それはいい志だ。うちは代々酒屋だったんだ。」
いかにもそんな感じがする人だ。
「小僧んときから店番してた。将来何になるなんて考える暇もなかったな。
店を手伝いに来てたカミサンと自然と結婚するもんだってお互い思ってた。
ただ子供に恵まれなくてね。」