この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
夢…獏の喰わぬ夢
第8章 変化
何となく近づき彼女を引き寄せて腕枕した。
「僕は君と一緒にいたい。」
「そのうち、お互いの夢の中でも会ったり行き来できるようになるかもね。」
先ほどと変わり穏やかな時が僕達を包んだ。
もう図書館にいかなくてもいい気分だったが、
「そろそろ行かない?」
彼女に促され、シャワーを浴びてそこを出た。
夕暮れの陽に包まれて気恥ずかしい思いのなか、彼女と街を歩いた。
図書館まで、彼女は馴染みの街を説明しながら歩いた。
図書館で僕は、how toものの本を集めた。
初心者の登山、宿、道具類など、
しかし、彼女は山の風景写真や、植物、動物の図鑑などをパラパラ見ている。
「宿に泊まるんだよね。」
「一泊はテントに寝てみたいの。」
彼女は、写真ばかり見ている。
「こんなところに行きたい。こんな所に夢で行ったから」
どうやら夢の記憶を元に行き先を決めようとしているようだった。
二人とも登山の経験がないので、場所も準備もイメージが湧かない。結局、それぞれが気になる本を借りて研究し、週末に相談することになった。