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夢…獏の喰わぬ夢
第9章 色
「上達したのね。夢の見方。」
「夢の中で、君は、僕を呼んでいたよ。
『私はここよ』と、それで君が水だとわかった。」
「私も夢で、あなたをそう呼んだわ。テントに戻ってる。私はここにいるってね。」
「不思議だね。違う夢なのに、君は同じ言葉を話したんだ。」
「夢の中で、本当に会える日が来るかもね。
でも、『人間以外のものになった。』と思ったとたんに、夢の様子が変わって目覚めたんでしょ?」
「そう。夢の君にも同じことを言われて、それから、急に泳げなくなり苦しくなって目覚めたよ。
それまでは、自由自在に泳げて、君が僕の水掻きを擽るのが気持ち良かった。」
「そう。夢と気付いて夢を見続けるのは難しいわ。
でも、それも、上達すればできるわよ。」
言いながら彼女は僕の指の股をなぞる。
夢の中で水に、彼女に擽られた感覚が蘇る。
「なんで、その夢を見たかわかる?」
「わからないよ。君はわかるの?」