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夢…獏の喰わぬ夢
第9章 色
「ハンバーグよ」
「えっ…」
「お肉を捏ねて、ここ、擽ったかった。新しい感触を覚えたでしょ。」
「それで、水掻きか…」
「そう、新しい刺激が強く記憶されたのよ。だから、夢に見たの。」
「君は?君は、夢と気付いて目覚めたの?」
「あなたに抱き締められて目覚めたわ。
夢は、脳で見てる。日中の刺激も潜在意識に刻まれるけど、寝ている時の体感も信号となり影響するわ。」
彼女は僕にキスをして微笑みながら言う。
「川、私は雪山、二人とも、寒かったのよ。エアコン…」
「あっ」
僕は話しながら寝てしまい。確かに部屋は涼し過ぎた。
「そして、あなたに抱き締められたから、夢の中でもそうなったのよ。目覚めてあなたが無事だとわかって良かったわ。」
僕は彼女にいとおしさを感じ、優しく抱き締めてキスをした。
彼女は微笑み、起きて朝食の支度を始める。
僕も側にいき、出来ることを手伝った。
毎日、彼女と朝を迎えられたら、どんなに幸せだろう。
僕たちは食事を済ませ、美術館へと出掛けた。
僕はあまり行ったことがなく、今まで芸術に興味がなかったが、彼女となら、新しいことでも臆せずにいられる。
何も気兼ねなく、自分をさらけ出すことができる。
彼女が見たい作品のある美術館に向かった。