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夢…獏の喰わぬ夢
第9章 色
彼女の見たい作品、作家は有名ではなく、抽象画が多いということだった。
さほど混雑してないが、鑑賞している人たちは、絵を観ながら小声で話しながら進んでいく。
僕は正直に話す。
「あまり美術館なんてきたことないんだ。この作家はどんな人なの?」
「気にしなくていいのよ。
観て、綺麗とか、何を言いたかったのか、自分の思うままにみれば…。」
「ふうん、題名をみて、なるほどと思うものもあれば、わからないのもあるね。」
「この人たちは、芸術という形で、自分を表現できる。羨ましいね。」
「そうね。
でもね。見えてるようで私たち何も見てないって知ってる?」
「えっ!?」
「まず、私たちが見ているのは、実物でなく、光によって反射する物体から出る色の光を捉えているの。」
「へぇ…」
「だから、暗闇だと何も見えないでしょう。」
「うん。」
「黒の明暗だけじゃ物体を認識出来ないのよ。」
「そうなんだ…」
「ちなみに、色の三原色と光の三原色を知ってる?」
「赤青黄なのは知ってるけど…」