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夢…獏の喰わぬ夢
第9章 色
「そう、その色を混ぜると?」

「黒になる。」

「じゃあ光だったら?」

「黒じゃないの?」

「違うわ。」

「白?」

「残念、無色…透明よ…」

「なくなっちゃうのか…」


「そうなのよ。
色として捉えられるものの集結は闇、光の集結は無…
中間にある色や光も、私たちは間接的にしか捉えられていない。」

「見えているようで、見えていない。無いものを見ているのかもしれないってこと?」

「そうよ。
更に私たちの体の構造上、目のレンズは網膜に上下逆さまの映像を写しこんでいるの。」

「それは何となく覚えてる。脳内でもう一度逆さまにしているって…」

「そう、その二回の回転に誤作動が起きたら?」

「もう、何か現実なのかわからないよ。」

「でも私たちは脳内で夢をみる。

何も邪魔されず、歪まない状態でね。

つまりは、現実より、正しい世界が夢なのよ。」

「ふうん…
そうしたら、現実を見る必要はなくなっちゃうのか?」

「いいえ、脳内で創造出来るだけの情報は必要でしょ?」

「つまり、夢という真実の世界の為に、現実世界が存在するってこと?」

「私にとっては…ね。」
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