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夢…獏の喰わぬ夢
第3章 春雨

気づいた時に彼女との約束を思い出していたはずだ。

しかし僕は全力で彼女を追い掛けた。
彼女は樹木のあいだから、脚や腕だけ見せて、僕を駆り立てる。

追い付いたと樹の陰をみると彼女はいない。
まるで鬼ごっこか隠れんぼだ。

息が切れ、僕は地面に四つん這いになった。
息を整え、すぐ前の樹をみると、毛布の端が目に入った。


息を殺して、四つん這いのままジリジリと近づく。僕は獲物を追う獣になった。

獲物は気づいていないのか、逃げる気配もない。あともう少しで毛布に手が届く。

一気に毛布を剥ぎ取れば、無防備な獲物は怯んで動けないだろう。

そうしたら白く輝く裸体を陽の光に晒し、思う存分貪り続けることが出来る。


はやる鼓動を察知されないように細心の注意を払って毛布に近づいた。


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