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夢…獏の喰わぬ夢
第4章 五月晴れ
彼女の絶対は外れ、目立つシャツのせいで指されたのだ。
彼女はすぐ目覚めて立ち上がった。
さすがに夢をコントロールできるだけのことはある。
僕は下を向き、小声でページを教えた。
前に立たされるのが嫌なもの達は、知らない単語だけはチェックしてくる。
聴くに耐えない発音だと前に立たされたまま講義終了までさらけだされる。
割り切ったものは、平気で前に立つ。人に顔が売れていいだろうと開き直る。
それがいやだから、僕達は目立たない席で目立たない身なりでおとなしくしていたのだ。
ページを教えたものの僕に出来るのはそこまでだ。
彼女の発音が不味かったり、知らない単語が有っても助けようがない。
しかし、彼女の英語は流暢だった。小鳥のさえずり、美しい歌声、今まで指された誰よりも流れるように、美しかった。
古典文学で、古びた見慣れない単語や言い回しも出てきて、準備しようにも調べ切れないものがあり、たいていがつまづく。
そこで講師が偉そうに注釈をいい、つまづいたものは、皆の視線と講師の罵声で辱めを受けることになる。
彼女は、僕の知らないところで沢山勉強しているのだろうか?
それとも、彼女は海外生活の経験が有るのだろか?
聞きほれて、自分が眠りに誘われてしまうくらい淡々と読み進めた。