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夢…獏の喰わぬ夢
第4章 五月晴れ
彼女が引っ張り出した僕に似合わないシャツのおかげで、僕達の周りは急に騒がしくなった。
「聖地にいく?」
彼女も周囲の変化を読み取っていた。
「行った方がいいわね。変に気にしたら余計目立つから。」
僕は周りが僕達の会話に耳を傾けているのではないかと気になって話題を選んでいた。
「気配を消す技は思ったほど習得できてなかったようだね。」
「あなたのシャツを自慢したくなっちゃたのかな。五月晴れ顔負けの…。」
「しかし、どこで習ったの?英語。
あいつ文句つけようがなくて悔しそうだったよ。」
「夢。」
「夢?」
「元々、嫌いじゃなかったけど、昔の映画や本などを生の言葉で知りたいと思ってたから、」
「夢の中で勉強したの?」
「逆ね。夢でその世界や時代に行った時、そこの言葉で理解したいと思ったから、映画や本で勉強したの。」
「じゃ、君は古典英語だらけの夢を見る訳?チャップリンと喜劇が何たるかを話したり、チャーチルの演説を聞いたり。」
「うーん似たような感じかな。」