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初戀 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第2章 恋の距離
二人で聖橋の上から、ニコライ堂を眺める。
綾香の黒く大きな瞳は夕焼けの橙色に染められ、褐色の色を帯びている。
「…私…ここからの眺めが大好きなの…」
その形の良い唇に微笑みが浮かぶ。
綺麗だな…。
綾香さんは笑うと本当に綺麗だ。
「…行ったことはないけれど、外国みたいだな…て」
素直な綾香の感想が好ましい。
「そうだね。パリにもそっくりな聖堂があったよ…」
…と、言った後で、まるで金持ちをひけらかしたかのようで感じが悪かったかな…と口をつぐむ。
しかし綾香は気を悪くした風もなく、目を丸くして当麻を見上げる。
「すごい!パリに行ったことあるの⁉︎」
「…う、うん…2年前にね…」
「パリの他にはどこに行ったの?」
興味津々に目を輝かせる綾香が可愛らしい。
「ロンドンとローマ…ベルリンにも行った」
「ベルリン!」
Ms.Dを思い出しているのだろうか…。
綾香の目に、羨望と憧憬の色が浮かんだ。
「…いいなあ…羨ましい…」
それは少しも僻んだ口調ではなく、素直な感情が吐露されていて、当麻は綾香をこの上なく愛おしく思った。
「…いつか行ってみたいな…ベルリンに…」
綾香はぼんやり呟く。
当麻は綾香を見つめながら力強く答える。
「行けるさ。君は世界的な歌手になるんだから」
綾香が驚いたように当麻を見つめる。
「…ベルリン、パリ、ローマ、ミラノ、ロンドン!どこにだって行けるさ!だって君は天才DIVAだから…僕が保証する!」
怒ったように綾香は顔を背ける。
「やめてよ、からかわないで」
「からかってなんかいない!本当にそう思う!君は天才だ!美しくて、オーラがあって、歌が上手いだけじゃなく叙情的で…慈愛に満ちて…とにかく!君は絶対に世界的なDIVAになれる!」
必死で力説する当麻を、綾香はゆっくりと見上げ、小さな声で呟いた。
「…ありがとう…望己さん…」
…え⁈…今、望己さんて言ってくれた⁈
と、聞き返そうとした時、綾香が大きな声で叫んだ。
「わっ!もうこんな時間!遅刻しちゃう!…私、走るから!」
そう言うが早いか駆け出す綾香の背中に当麻は叫ぶ。
「綾香さん!…また待っててもいい⁈」
綾香は振り返る。
「…金曜日!」
「へ?」
「今度のバイトは金曜日!」
そのまま照れ臭そうに走り出し、綾香は人混みに紛れる。
「ありがとう!綾香さん!」
当麻は飛び上がり、ガッツポーズをする。
綾香の黒く大きな瞳は夕焼けの橙色に染められ、褐色の色を帯びている。
「…私…ここからの眺めが大好きなの…」
その形の良い唇に微笑みが浮かぶ。
綺麗だな…。
綾香さんは笑うと本当に綺麗だ。
「…行ったことはないけれど、外国みたいだな…て」
素直な綾香の感想が好ましい。
「そうだね。パリにもそっくりな聖堂があったよ…」
…と、言った後で、まるで金持ちをひけらかしたかのようで感じが悪かったかな…と口をつぐむ。
しかし綾香は気を悪くした風もなく、目を丸くして当麻を見上げる。
「すごい!パリに行ったことあるの⁉︎」
「…う、うん…2年前にね…」
「パリの他にはどこに行ったの?」
興味津々に目を輝かせる綾香が可愛らしい。
「ロンドンとローマ…ベルリンにも行った」
「ベルリン!」
Ms.Dを思い出しているのだろうか…。
綾香の目に、羨望と憧憬の色が浮かんだ。
「…いいなあ…羨ましい…」
それは少しも僻んだ口調ではなく、素直な感情が吐露されていて、当麻は綾香をこの上なく愛おしく思った。
「…いつか行ってみたいな…ベルリンに…」
綾香はぼんやり呟く。
当麻は綾香を見つめながら力強く答える。
「行けるさ。君は世界的な歌手になるんだから」
綾香が驚いたように当麻を見つめる。
「…ベルリン、パリ、ローマ、ミラノ、ロンドン!どこにだって行けるさ!だって君は天才DIVAだから…僕が保証する!」
怒ったように綾香は顔を背ける。
「やめてよ、からかわないで」
「からかってなんかいない!本当にそう思う!君は天才だ!美しくて、オーラがあって、歌が上手いだけじゃなく叙情的で…慈愛に満ちて…とにかく!君は絶対に世界的なDIVAになれる!」
必死で力説する当麻を、綾香はゆっくりと見上げ、小さな声で呟いた。
「…ありがとう…望己さん…」
…え⁈…今、望己さんて言ってくれた⁈
と、聞き返そうとした時、綾香が大きな声で叫んだ。
「わっ!もうこんな時間!遅刻しちゃう!…私、走るから!」
そう言うが早いか駆け出す綾香の背中に当麻は叫ぶ。
「綾香さん!…また待っててもいい⁈」
綾香は振り返る。
「…金曜日!」
「へ?」
「今度のバイトは金曜日!」
そのまま照れ臭そうに走り出し、綾香は人混みに紛れる。
「ありがとう!綾香さん!」
当麻は飛び上がり、ガッツポーズをする。