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初戀 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第4章 天使のなみだ
洋食屋はカフェから歩いてすぐの場所にあった。
こじんまりした家庭的な洋食屋。
二人が中に入ると、人の良さげな女将が声を上げる。
「あら!綾香ちゃん。いらっしゃい!」
「こんばんは。おばさん」
女将は当麻を見て明るく声をかける。
「…ハンサムさんね!…綾香ちゃんが男性を連れて来るなんて初めてじゃない。…もしかして…イイ人?」
綾香は恥ずかしそうに頷く。
「まあ、そうなの!良かったわね、綾香ちゃん。ハンサムだし、優しそうな人ね。…お母さん、きっと喜んでいるわね」
「ありがとう、おばさん」
綾香は嬉しそうに礼を言い、オムライスをオーダーする。
「本当に美味しいの。望己さんにも食べて貰いたくて…」
「うん。楽しみだ。…あのね、綾香さんにプレゼントがあるんだ」
「なあに?」
望己は鞄の中から、1枚のレコードを取り出し、綾香に差し出す。
「…これ…?」
驚いたように目を見開く。
「…Ms.Dのレコードなんだ。ベルリンで買ったんだ。初めて綾香さんの歌を聴いた時、Ms.Dの歌を歌っていて驚いたよ。凄く良かった!…だから、このレコード、良かったら貰ってくれないかな?」
綾香は慌てて首を振る。
「こんな貴重なもの、貰えないわ!望己さんがせっかくベルリンで買ったんでしょ?」
「僕は、綾香さんに貰って欲しいんだ。綾香さんに聴いて貰って、もっともっとたくさんMs.Dの歌を歌って欲しい。君は必ず、世界的な歌手になるんだから」
綾香はじっと当麻を見つめていたが、やがて感激したような高揚した表情で頷いた。
「…ありがとう…。凄く凄く嬉しい。大切にするわ」
「うん…。今度一緒に聴こう…」
「…いいわ。…あ、でも私、蓄音機持ってないんだ…」
「プレゼントするよ」
「だめ!そんな高価なもの、貰えないわ。…私ね、カフェが閉店になった後、お店の蓄音機でよくレコードをかけて聴いているの。…望己さん、良かったら今度一緒にお店で聴かない?」
「いいね!そうしよう!」
他愛のない話しでも、二人にとってはわくわくするような幸せな時間だった。
「はい!オムライスお待たせ!彼氏の方は大盛りよ〜」
女将がにこにこしながら皿をテーブルに置く。
「ありがとう、おばさん」
「本当に美味しそうだね」
オムライスの卵の黄色とケチャップの赤がいかにも温かく幸福そうに輝いている。
綾香と当麻は顔を見合わせて、笑った。
こじんまりした家庭的な洋食屋。
二人が中に入ると、人の良さげな女将が声を上げる。
「あら!綾香ちゃん。いらっしゃい!」
「こんばんは。おばさん」
女将は当麻を見て明るく声をかける。
「…ハンサムさんね!…綾香ちゃんが男性を連れて来るなんて初めてじゃない。…もしかして…イイ人?」
綾香は恥ずかしそうに頷く。
「まあ、そうなの!良かったわね、綾香ちゃん。ハンサムだし、優しそうな人ね。…お母さん、きっと喜んでいるわね」
「ありがとう、おばさん」
綾香は嬉しそうに礼を言い、オムライスをオーダーする。
「本当に美味しいの。望己さんにも食べて貰いたくて…」
「うん。楽しみだ。…あのね、綾香さんにプレゼントがあるんだ」
「なあに?」
望己は鞄の中から、1枚のレコードを取り出し、綾香に差し出す。
「…これ…?」
驚いたように目を見開く。
「…Ms.Dのレコードなんだ。ベルリンで買ったんだ。初めて綾香さんの歌を聴いた時、Ms.Dの歌を歌っていて驚いたよ。凄く良かった!…だから、このレコード、良かったら貰ってくれないかな?」
綾香は慌てて首を振る。
「こんな貴重なもの、貰えないわ!望己さんがせっかくベルリンで買ったんでしょ?」
「僕は、綾香さんに貰って欲しいんだ。綾香さんに聴いて貰って、もっともっとたくさんMs.Dの歌を歌って欲しい。君は必ず、世界的な歌手になるんだから」
綾香はじっと当麻を見つめていたが、やがて感激したような高揚した表情で頷いた。
「…ありがとう…。凄く凄く嬉しい。大切にするわ」
「うん…。今度一緒に聴こう…」
「…いいわ。…あ、でも私、蓄音機持ってないんだ…」
「プレゼントするよ」
「だめ!そんな高価なもの、貰えないわ。…私ね、カフェが閉店になった後、お店の蓄音機でよくレコードをかけて聴いているの。…望己さん、良かったら今度一緒にお店で聴かない?」
「いいね!そうしよう!」
他愛のない話しでも、二人にとってはわくわくするような幸せな時間だった。
「はい!オムライスお待たせ!彼氏の方は大盛りよ〜」
女将がにこにこしながら皿をテーブルに置く。
「ありがとう、おばさん」
「本当に美味しそうだね」
オムライスの卵の黄色とケチャップの赤がいかにも温かく幸福そうに輝いている。
綾香と当麻は顔を見合わせて、笑った。