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OLオクサマのふぇろもん
第2章 Scene.02
 
 甘い香りが鼻を突く。

 強すぎる事もない、自然に鼻腔から吸い込まれていく。

 視線の僅か下には、軽くウェーブが掛かった明るい茶髪。

 一瞬で女と判断でき、向かい合った事に気不味くなってくる。

「お、降ります降りますっ」

 人を掻き分けて出て行く乗客。

 それによって生じる人の動き。

 幸いにも、甘い香りのする女と離れられた。

「…ふぅ………」

 向き合って密着する事態は免れた。

 見ず知らずの人と正面で密着するなんて、お互い気不味いに決まってる。

 多少なりとも、さっきよりは快適になった空間。

 少しは空間が開けたので、軽く書類に目を通しておこうと視線を落とした。

「…えっ………」

 書類が入った鞄に視線が向かわなかった。

 向かう途中で止まった。

 深い紺色のジャケットの下に純白のブラウス。

 その一部分が異様に盛り上がっていた。
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