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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 Fly me to the Moon
その夜の晩餐で、月城は梨央に縣の手紙を渡した。
ベビーピンクのシフォンのノースリーブのドレスを着た梨央は咲き始めた薔薇のように初々しく美しい。
大人っぽく結い上げられた髪は光によるものらしく、梨央を一段と大人びて見せる。
剥き出しになったほっそりと長いうなじの白さが月城には眩しすぎて、さりげなく目を伏せる。

「縣様が軽井沢の別荘にいらしたのですって。欧州からお帰りになったのね」
梨央は嬉しそうに手紙から目を上げた。

28歳になった縣は、実家の炭鉱業以外に自ら立ち上げた貿易会社で采配を振るう若き実業家だ。
最近は商用でヨーロッパやアメリカを行ったり来たりする忙しい身の上だが、梨央に対する献身と愛情は変わらない。
…いや、年を追うごとに美しく気高く輝くように成長する梨央を以前にも増して深く愛し、熱い眼差しで見つめるようになっていた。
側でその様子を見守る月城には縣の梨央に対する熱い恋心が手に取るようにわかっていた。

「縣様をお茶にお招きして良いかしら?月城」
「はい。それがよろしいかと存じます」
「では、明日のご予定はいかがでいらっしゃるかお伺いして」
月城は微笑しながら一礼する。
「かしこまりました」
梨央の隣の席で白ワインのグラスを優雅に持った光が口を開く。
「…縣礼也さん…ね。先月、パリの大使館のパーティでお会いしたわ」
梨央が驚いたように目を見開く。
「まあ、偶然ね」
「ハンサムな若き実業家の次期男爵様ですもの。パリの日本のお嬢様方はみんな縣様に夢中になっていたわ。話題も豊富でインテリで紳士で…素敵な方ね」
信頼する縣を褒められ、梨央は嬉しそうに頷く。
「ええ、縣様は本当にお優しくて頼もしくて素晴らしい方なの」
光は艶然と微笑みながら尋ねる。
「…縣様が好きなの?梨央さん」
「ええ、好きよ。小さな頃からずっと親しくして下さって梨央の後見人をしてくださるの」
無邪気に笑う梨央は天使のように無垢だ。
光はそのほっそりとした美しい指を梨央に伸ばし、顎を持ち上げる。
「…私が聞きたいのは、そういう意味じゃないんだけど…まあいいわ、可愛いbebeちゃん」
「なあに?光お姉様。また梨央を赤ちゃん扱いして」
膨れてみせる梨央に光は声を出して笑う。
月城は少し胸を撫で下ろしながら、縣邸に使いを出すべく席を外した。
…光は月城を妖しい眼差しで薄く笑いながら見送った。


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