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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 Fly me to the Moon

アフタヌーンティーは客間で和やかに始まった。
「ようやく梨央さんにお目にかかれました。…欧州で激務に耐えた甲斐があったというものです」
涼しげな仕立ての良い麻のスーツに身を包んだ縣は相変わらず堂々とした美丈夫ぶりだ。
朗らかに笑いを交えながら梨央に話しかける。
梨央ははにかみながらも微笑む。
「私も、縣様とお会いできて嬉しいです。軽井沢にいらっしゃるのを楽しみにお待ちしておりました」
大分大人びた会話ができるようになった梨央を縣は愛しげに見つめる。
「光栄です。…それに…こちらでもまたお会いできて、嬉しく思います。光さん」
梨央の隣の光にも恭しく礼を尽くす。
光は断髪の髪をかきあげながら、縣に微笑む。
「私もですわ。…縣様。パリではありがとう。貴方のお陰で助かったわ」
梨央は不思議そうに光と縣を交互に見る。
「光お姉様…?パリで何かあったの?」
光は梨央を優しく見つめ、少し艶めいた眼差しで縣を見る。
「パリの大使館のパーティで、私にしつこく迫ってくる男性がいて…縣様がその方から私をさり気なく守ってくださったの」
梨央は顔を曇らせる。
「お姉様、危険な目に遭いそうになったの?」
光はしなやかな指で梨央の頬を愛撫するように撫でる。
「大丈夫よ。…キスされそうになっただけ」
梨央が顔を引きつらせ、唇を歪める。
「…許せないわ!光お姉様になんて無礼な!」
縣は目を見張る。
普段おとなしやかで優しい梨央がそのような言葉と表情を見せるのは初めてだった。
光は梨央を優しく抱き寄せ、その美しい黒髪にキスをする。
「酔っていらしたのよ。寸前で縣様が助けて下って…心配しないで。梨央さん」
光は恋人にするように梨央の顔を引き寄せ、額を合わせる。
「…光お姉様…パリではそんな危険なことがあるの?」
梨央が光に拗ねたような、しかし甘やかな口調で尋ねる。
その様子に驚きつつ、和やかに口を開く。
「…連城公爵は、悪いお人ではないのですがお酒が過ぎるといささか羽目を外されるお方でしてね。…光さんが余りにお美しくて、目が眩んだのでしょう」
「…嫌だわ…。私の光お姉様がそんな方に…」
駄々をこねる梨央を光は、愛しくてたまらないように強く抱きしめる。
「可愛い梨央さん。…貴女みたいに可愛くて美しい人はどこにもいないわ。大好きよ」
光は梨央を抱きしめながら縣を妖しくも…挑発の眼差しで笑いかけた。

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