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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 Fly me to the Moon
月城は光の挑発的な眼差しを気にしながら、しかしさりげなく焼きあがったばかりのスコーンの盆をテーブルに置く。
縣は紳士らしく、上品な所作で穏やかにお茶を一口飲む。
「…光さんと梨央さんは大変仲がよろしいのですね。美しいお二人が仲睦まじいご様子は、実に微笑ましい」
梨央は光に抱かれたまま無邪気に笑う。
「ええ。私、光お姉様が大好きなのです。小さな頃からずっと光お姉様に憧れていて…お姉様みたいに美しく、賢く、強くなりたい!と、ずっと願っているのです。…私、引っ込み思案で身体も弱いから、学校にも通えないでしょう?お姉様みたいだったら…もっともっと色々なことが出来るのに…て…」
「まあ、梨央さんたら…。貴女は今のままで充分お美しくて魅力的なのよ?変わる必要なんてないわ」
光は梨央にキスするような距離で濃密に見つめ、笑いかける。
「…でも…」
反論しようとする梨央に縣が穏やかに、しかしきっぱりと声をかける。
「同感ですね。…梨央さんはそのままの梨央さんだから美しいのです。…おしとやかで、繊細で、お優しくて、素直で…そして一点の穢れもない美しい薔薇のようなお姿で…これからのご成長が本当に楽しみですよ」
縣の眼差しには常とは違う熱い温度があった。
それは1人の男性が1人の密かに恋焦がれる女性を見つめる目であった。
月城は後ろに控えながら、思わず息を飲む。
「…縣様…そんな…梨央を買いかぶりすぎですわ…」
褒めちぎられ、肩をすくめて恥じらう。
「…本当にそう思っているのです。…梨央さん。私は貴女以上にお美しくて素晴らしい女性を知りません」
いつもとは違う縣の口調に、梨央は長い睫毛越しに、戸惑ったように縣を見上げる。
「…あの…」
その時、光が可笑しそうに笑い出し、梨央を抱く手に力を込めた。
「フフフ…縣様の情熱的なお言葉だこと!まるで梨央さんに恋してやまない男性のよう!…縣様は後見人でいらっしゃるのですよね?…そのようなお立場の方が…まさか、梨央さんに邪なお気持ちをお持ちではないわよね?」
「光お姉様!そんなこと…!」
梨央は慌てる。
「その通りです。光さん。私は梨央さんの後見人。今は梨央さんを公的にお守りする義務を全力で果たすことが任務です。…今は…ですがね…」
縣は大人らしく和かに余裕に満ちた笑みを光に返す。
光は縣を猫のように目を細めて見つめ、そして笑った。




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