この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 Fly me to the Moon
梨央は困ったように目を伏せる。
…縣の事は大好きだが、恋愛感情を感じたことはない。
そもそも、梨央はまだ誰にも恋しい気持ちを持ったことがないのだ。
光のことは大好きだが、欲しかった姉に憧れるような気持ちだし、縣に対しては常に自分を護ってくれ、安心感だけを与えてくれる頼もしい父のような兄のような気持ちなのだ。
だから、光と縣の梨央を巡る会話の応酬にもどうしたらよいか分からない。
…梨央はお二人とも大好きなのに…。
途方に暮れたような梨央の表情に気づいた縣が、ふっと柔らかな微笑を浮かべる。
「…梨央さんを困らせてしまいましたね。申し訳ありません。良いのです。梨央さんはゆっくり大人になってください。私はずっとおそばで梨央さんをお護りできたらそれで幸せなのですから…」
梨央はほっと胸をなでおろす。
光も肩をすくめ、
「私だって梨央さんを悩ませるのは不本意だわ。もうこのお話はお仕舞いにしましょう」
梨央の髪に再び口付ける。
「ありがとう、お姉様。…ねえ、そろそろ始めましょうか?」
安堵感に包まれた梨央は光に目配せをする。
光は梨央の髪をかきあげてやりながら、微笑む。
「…ええ、いいわよ」
縣が不思議そうな顔をして、2人を見つめる。
梨央は縣に咲き始めの薔薇のように優雅に恥じらうように微笑みかけた。
「…これから光お姉様のヴァイオリンと私のピアノで合奏をさせていただきたいと思いますの。…縣様、よろしければ、お聴きいただけますかしら?」
…縣の事は大好きだが、恋愛感情を感じたことはない。
そもそも、梨央はまだ誰にも恋しい気持ちを持ったことがないのだ。
光のことは大好きだが、欲しかった姉に憧れるような気持ちだし、縣に対しては常に自分を護ってくれ、安心感だけを与えてくれる頼もしい父のような兄のような気持ちなのだ。
だから、光と縣の梨央を巡る会話の応酬にもどうしたらよいか分からない。
…梨央はお二人とも大好きなのに…。
途方に暮れたような梨央の表情に気づいた縣が、ふっと柔らかな微笑を浮かべる。
「…梨央さんを困らせてしまいましたね。申し訳ありません。良いのです。梨央さんはゆっくり大人になってください。私はずっとおそばで梨央さんをお護りできたらそれで幸せなのですから…」
梨央はほっと胸をなでおろす。
光も肩をすくめ、
「私だって梨央さんを悩ませるのは不本意だわ。もうこのお話はお仕舞いにしましょう」
梨央の髪に再び口付ける。
「ありがとう、お姉様。…ねえ、そろそろ始めましょうか?」
安堵感に包まれた梨央は光に目配せをする。
光は梨央の髪をかきあげてやりながら、微笑む。
「…ええ、いいわよ」
縣が不思議そうな顔をして、2人を見つめる。
梨央は縣に咲き始めの薔薇のように優雅に恥じらうように微笑みかけた。
「…これから光お姉様のヴァイオリンと私のピアノで合奏をさせていただきたいと思いますの。…縣様、よろしければ、お聴きいただけますかしら?」