この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 Fly me to the Moon
光は梨央の部屋の扉をそっとノックし、開く。
梨央は寝台に横たわり、ブランケットをすっぽり被り目を閉じていた。
白桃のように白く滑らかな頬には涙のあとが残っていた。
寝台に腰掛け、光はその涙のあとを愛おしげになぞる。
梨央がゆっくり瞼を開き、光を見つけるとまた涙ぐんだ。
初潮が始まったことを知った梨央は気の動転から泣きじゃくり、小林医師の診察さえままならないほど取り乱していた。
光がずっと側にいて宥め、慰め、言葉をかけてやっと落ち着いてきたのだった。
「梨央さん、もう泣かないで。心配いらないのよ。これは梨央さんの身体が成熟した証しなの。皆が経験することなのよ」
「…でも…」
梨央は、羞恥から身体を震わせる。
「…月城に…気づかれたかもしれないわ…」
月城は倒れかけた梨央を抱きしめて介抱した。
自分の身体の変化を月城に察知されたかと思うと、恥ずかしさと情けなさで身の置き所がなくなる。
「気づいてないわ。大丈夫よ」
「…でも…」
月城の腕は細身なのに逞しく、梨央を護ろうとしっかりと抱きすくめられたその感触が朦朧とした意識の中でも蘇る。
月城の温かな体温、端正な美しい眼差し…
月城のそれは父の次に見馴れて身体に馴染んでいる。
誰よりも安心感を与えてくれる存在なのだ。
その月城に、自分の身体に起こった変化を感じ取られてしまったら…と、梨央は不意に取り乱して月城を拒んでしまったのだ。
…なんとも言えない恥ずかしさといたたまれなさ…
こんな気持ちは初めてだった。
思い出した梨央は枕に顔を伏せ、啜り泣く。
「…もういや…恥ずかしい…お腹も痛いし…こんなことが毎月起こるの?」
光は梨央の身体に被さるように抱きしめ、ほっそりとした長い美しい腕を愛撫するように撫でる。
「すぐに慣れるわ。生理は病気ではないのよ。…大丈夫。私が付いているわ。梨央さんのお世話は全てしてあげる」
梨央は弱々しく首を振る。
「…光お姉様にそんなことさせられないわ」
光はしなやかな手で梨央の頬を覆い、口付けするような距離で梨央を熱く見つめる。
「…私がお世話をしたいの。…梨央さんの身体を…他の人に触れさせたくないの…こんなに綺麗で清らかな身体を…私以外誰にも…」
「…光お姉様…?」
梨央は少し驚いたよう眼差しで光を見つめ返す。
そんな梨央を甘く宥めるように光は優しく髪を撫で、額にキスを落とした…。
梨央は寝台に横たわり、ブランケットをすっぽり被り目を閉じていた。
白桃のように白く滑らかな頬には涙のあとが残っていた。
寝台に腰掛け、光はその涙のあとを愛おしげになぞる。
梨央がゆっくり瞼を開き、光を見つけるとまた涙ぐんだ。
初潮が始まったことを知った梨央は気の動転から泣きじゃくり、小林医師の診察さえままならないほど取り乱していた。
光がずっと側にいて宥め、慰め、言葉をかけてやっと落ち着いてきたのだった。
「梨央さん、もう泣かないで。心配いらないのよ。これは梨央さんの身体が成熟した証しなの。皆が経験することなのよ」
「…でも…」
梨央は、羞恥から身体を震わせる。
「…月城に…気づかれたかもしれないわ…」
月城は倒れかけた梨央を抱きしめて介抱した。
自分の身体の変化を月城に察知されたかと思うと、恥ずかしさと情けなさで身の置き所がなくなる。
「気づいてないわ。大丈夫よ」
「…でも…」
月城の腕は細身なのに逞しく、梨央を護ろうとしっかりと抱きすくめられたその感触が朦朧とした意識の中でも蘇る。
月城の温かな体温、端正な美しい眼差し…
月城のそれは父の次に見馴れて身体に馴染んでいる。
誰よりも安心感を与えてくれる存在なのだ。
その月城に、自分の身体に起こった変化を感じ取られてしまったら…と、梨央は不意に取り乱して月城を拒んでしまったのだ。
…なんとも言えない恥ずかしさといたたまれなさ…
こんな気持ちは初めてだった。
思い出した梨央は枕に顔を伏せ、啜り泣く。
「…もういや…恥ずかしい…お腹も痛いし…こんなことが毎月起こるの?」
光は梨央の身体に被さるように抱きしめ、ほっそりとした長い美しい腕を愛撫するように撫でる。
「すぐに慣れるわ。生理は病気ではないのよ。…大丈夫。私が付いているわ。梨央さんのお世話は全てしてあげる」
梨央は弱々しく首を振る。
「…光お姉様にそんなことさせられないわ」
光はしなやかな手で梨央の頬を覆い、口付けするような距離で梨央を熱く見つめる。
「…私がお世話をしたいの。…梨央さんの身体を…他の人に触れさせたくないの…こんなに綺麗で清らかな身体を…私以外誰にも…」
「…光お姉様…?」
梨央は少し驚いたよう眼差しで光を見つめ返す。
そんな梨央を甘く宥めるように光は優しく髪を撫で、額にキスを落とした…。