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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 Fly me to the Moon

それから数日間は、梨央は自室にほとんど篭りきりで、食事も部屋で光と摂り、メイドも茅野しか中に入れなかった。
気が気ではない月城は梨央の食事のトレーを厨房に下げに降りた茅野に尋ねる。
「茅野さん、梨央様のご様子はいかがですか?」
茅野は心配そうな月城に優しく微笑む。
「大丈夫よ。だいぶお元気になられたわ」
「良かった…」
安堵の溜息を吐く月城に茅野は手際よく食器を片付けながら続ける。
「光様がずっと付いていらっしゃるわ。…ご入浴のお世話もされているのよ。…さすがに、私が致しますって申し上げたのだけど、梨央様のお世話は全てしたいからいいの…て断られたの」
「…そうですか…」
「…本当に光様は梨央様にお優しいのね。私、光様を誤解していたみたい。梨央様が倒れられた時も、ずっと片時も離れずに慰めて励ましておられたのよ。この数日もお出かけやお茶会も断られて…。梨央様のお食事のお世話からお着替えやご入浴のお世話まで…。なかなか出来ることではないわ。
梨央様はすっかり光様に頼りきりよ」
月城は整った眉をやや顰める。
…そんなに…。
光様はずっと梨央様に付いておられるのか…。
…ご入浴も…
梨央様の一糸纏わぬお身体をご覧になられているのか…。
…と、月城ははっと我に返り、自分の下賤な想像を恥じた。
…なにを…私は考えているのだ!
梨央様のお身体のことなど…。
…光様はお従姉妹様だ。
きっと、梨央様の本当のお姉様のようなお気持ちでお世話をされているのだ…余計なことは考えてはいけない。
月城は首を振る。
「…それは良かったです。…梨央様も心強くていらっしゃることでしょう…」
「ええ。今日は笑顔でお話しされていらしたし。…明日からは、いつも通りにダイニングでお食事されるそうよ。良かったわね…光様のお陰ね」
茅野は目くばせしながら、梨央の食後のコーヒーの準備を始めた。
「…そうですね…」
月城はやや淋しげに笑いながら、庭師の指示のため、厨房を出た。
気が気ではない月城は梨央の食事のトレーを厨房に下げに降りた茅野に尋ねる。
「茅野さん、梨央様のご様子はいかがですか?」
茅野は心配そうな月城に優しく微笑む。
「大丈夫よ。だいぶお元気になられたわ」
「良かった…」
安堵の溜息を吐く月城に茅野は手際よく食器を片付けながら続ける。
「光様がずっと付いていらっしゃるわ。…ご入浴のお世話もされているのよ。…さすがに、私が致しますって申し上げたのだけど、梨央様のお世話は全てしたいからいいの…て断られたの」
「…そうですか…」
「…本当に光様は梨央様にお優しいのね。私、光様を誤解していたみたい。梨央様が倒れられた時も、ずっと片時も離れずに慰めて励ましておられたのよ。この数日もお出かけやお茶会も断られて…。梨央様のお食事のお世話からお着替えやご入浴のお世話まで…。なかなか出来ることではないわ。
梨央様はすっかり光様に頼りきりよ」
月城は整った眉をやや顰める。
…そんなに…。
光様はずっと梨央様に付いておられるのか…。
…ご入浴も…
梨央様の一糸纏わぬお身体をご覧になられているのか…。
…と、月城ははっと我に返り、自分の下賤な想像を恥じた。
…なにを…私は考えているのだ!
梨央様のお身体のことなど…。
…光様はお従姉妹様だ。
きっと、梨央様の本当のお姉様のようなお気持ちでお世話をされているのだ…余計なことは考えてはいけない。
月城は首を振る。
「…それは良かったです。…梨央様も心強くていらっしゃることでしょう…」
「ええ。今日は笑顔でお話しされていらしたし。…明日からは、いつも通りにダイニングでお食事されるそうよ。良かったわね…光様のお陰ね」
茅野は目くばせしながら、梨央の食後のコーヒーの準備を始めた。
「…そうですね…」
月城はやや淋しげに笑いながら、庭師の指示のため、厨房を出た。

