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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 Fly me to the Moon
梨央が光と大階段を降り始めた時、月城が玄関ホールから大階段へと歩を進めていた。
久しぶりに月城の顔を見る梨央は、気恥ずかしさと気まずさに顔を伏せる。
2人は踊り場ですれ違い、そのまま梨央が通り過ぎようとするのを月城が思わず引き止めた。
「…梨央様」
梨央ははっと脚を止め、振り返る。
「…もう、お身体の調子はよろしいですか?」
月城の静かに気遣う声が聞こえた。
「…ええ…あの…心配をかけてごめんなさい」
月城の目がなぜだか見られない梨央は、俯いて小さく答える。
月城は優しく梨央を見つめる。
「…とんでもありません。お元気になられて良かったです」
梨央はおずおずと顔を上げる。
端正で美しく、穏やかないつもと変わらない月城…。
梨央を見つめる眼鏡の奥の瞳は限りなく優しい。
小さな頃からずっと親しんで来た梨央の大好きな月城だ。
その姿は梨央に安心感しか与えない筈だったのに…。
なぜ、月城をまともに見られないのかしら…。
月城の目をみると、ドキドキする…。
見つめられると、恥ずかしくてどうしたら良いかわからない…。
堪らず梨央はその場から早く離れようと
「…もう、行くわ…」
と、少し焦り気味に階段に脚を踏み出した。
その時、梨央の裾の長いドレスが靴に絡まり、階段を踏み外しそうになった。
「あっ…!」
「梨央様!」
梨央の身体がバランスを崩しそうになる前に、月城が素早く梨央を抱き止める。
「…あ…!」
月城の胸元に梨央の顔が押し付けられる形…。
温かく力強い腕が華奢な梨央の背中を抱きしめる。
…月城…いい匂い…
控えめだが大人っぽい香りが梨央の鼻腔をくすぐる。
糊の効いた真っ白なシャツに顔を埋め、梨央はドキドキしながら、思わず目を閉じた。
月城の梨央を抱く腕に力が込められる。
「大丈夫ですか?」
顔を上げると、まるで口付けをするような近い距離に月城の気遣わし気な美しい顔がある。
梨央は不意に激しい羞恥に襲われ、思わず月城の胸を押し返した。
「…いや…は、離して…」
「…梨央様…」
月城の端正な顔が一瞬傷ついたような表情を浮かべる。
梨央は慌て首を振る。
「ち、違うの……あの…その…」
「梨央様…?」
…どうしたらいいの。…何なの、この気持ちは…。
月城に触れられることが恥ずかしい…でも…どこか…嬉しいような…。
どうしたらいいかわからない…。














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