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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 Fly me to the Moon
梨央は浴室の大理石の上でシャワーを使いながら、自分の身体を見下ろす。
…初潮が始まったせいか、日毎身体が女性らしく変化しつつあるような気がする…。
胸や腰やお尻に丸みが生まれ…特に胸は小ぶりながらも少しずつ膨らみ、先端が薄桃色に色づきつつあるのが見て取れ、梨央は気恥ずかしいような嬉しいような複雑な気持ちになるのだ。
…私も少しずつ、大人の女性の身体に変わってゆくのかしら…。

梨央は広い大理石の浴槽に身を沈める。
湯の温度はちょうど良く、自然と広やかな気持ちになる。
…ふと、月城の端正な面影が胸に浮かんだ。
先ほど、梨央が思わず月城を拒んだ時に見せた月城の傷ついたような表情を思い出し、胸が痛む。
…もう、昔みたいに無邪気に月城に、甘えたりできないのかしら…。
梨央の胸がきゅっと締め付けられるように苦しくなる。
…なぜ?
月城のことを考えると、切ないような苦しいような…感じたことのない不思議な気持ちになるのは…。
…分からない…。
こんな気持ちは初めてだもの…。
…でも…。
もう、以前のように月城と接したりできないことは確かだわ…。
梨央は寂しげに俯く。

…と、その時、扉が開く音と共に立ち込める湯気の向こうから光が現れた。
光の姿を見た瞬間、梨央は思わず目を奪われた。
…すらりとした背に、長い手足…。
西洋人のようだとよく他人から言われる体型は梨央と良く似ている。
しかし、その豊満な乳房は普段、男装の装いに隠されている分、驚くほど女性的で官能的であった。
美しいヴィーナスの彫刻のような姿の光がゆっくり微笑みながら近づいて来る。
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