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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 Fly me to the Moon
梨央は自分の未熟な身体を見られたくなくて、白濁の湯の中に慌てて身を沈める。
光はシャワーで軽く身体を流すと優雅な猫のような足取りで浴槽に入ってきた。
「…この温泉は本当にいいお湯ね。…パリには温泉がないから、日本の温泉が懐かしかったわ」
光は温泉に身を委ねながら、優しく微笑む。
梨央は光の優しい笑顔が大好きだ。
梨央を子供扱いしたり、際どいことを仕掛けたり、言ったりして時々困惑させられるが、それでも梨央は光の本質は、梨央に対する限りない優しさだと分かっているので、光を慕わずにはいられないのだ。
「…光お姉様、9月になったらパリに戻られるの?」
1番気になっていることを聞いてみる。
「ええ…。9月からはソルボンヌ大学通うことになっているの。日本だと女性はまだまだ大学に通う人数は限られているけれど、ヨーロッパは違うわ。男性と同等の意識を持って学問にも仕事にも向っているし、活躍も出来るのよ。日本では女性が勉強しようとしたり、職業婦人になろうとすると、女だてらにと揶揄されるけれど…フランスではそんなことはないの。女性も堂々と社会に進出して生き生きと人生を楽しんでいるのよ」
魅惑的な瞳をきらきらと輝かせながら話す光は自信と強い意志に満ちて本当に美しい。
梨央はそんな光が誇らしく、また羨ましく見つめる。
「光お姉様、素敵。お姉様は昔からそうだったわね。強くて、自立していらして…羨ましい。私もお姉様みたいになりたかったわ…」
少し寂しげに呟く梨央を光はじっと見つめ、梨央のしっとりと薔薇色に染まった頬をそっと撫でる。
「…ねえ、梨央さん。…私と一緒にパリに行かない?」
思いがけない言葉を聞き、梨央は目を見開いた。
「え?…私がパリへ?」
「そう。パリに行ってリセに通うのよ。梨央さんは英語もフランス語も堪能だし、とても賢いから編入試験も受かるはず。受験勉強なら私が見てあげられるし」
「で、でも…」
「お身体もだいぶ丈夫になられたし…それにヨーロッパに住んでいたら、北白川の叔父様にも会うことは今よりは容易よ。フランスとイギリスは近いもの」
「それは…魅力的だけれど…」
「寄宿舎が苦手?…だったら私とパリのアパルトマンに住みましょう。もう16区のアパルトマンを契約してあるのよ。オペラ座が見える素晴らしい所なの」
次から次へと夢のような構想を話す光に梨央は言葉も出ない。

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