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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 Fly me to the Moon
「…でも…私など外国暮らしが出来るかしら…」
梨央はたじろぐ。
梨央は変化を好まない。
同じ場所、同じ人々、同じ日常が1番安心するし、しっくり来るのだ。
広大とはいえ、屋敷に閉じこもりきりの梨央に
「…お可哀想に…。お若いのに学校にも通えず、お外にお出かけもお出来にならないなんて…」
憐れむ貴族の人々は数多くいる。
けれど、梨央は自分が可哀想とも、そんな生活が不自由とも思ってはいなかった。
慣れ親しんだ屋敷で穏やかに過ごす日常をなにより愛していた。
…それに…
屋敷には月城がいる。
朝から晩まで梨央の影のように付き添い、何かあるとさりげなく手を差し伸べてくれる腹心の執事…。
彼がいれば困ることは何もなかった。
月城はいつも優しく梨央を支えてくれる。
『月城がいれば、梨央はなにも怖くないわ。ずっと梨央のそばにいてね、月城』
幼い梨央の口癖を、月城はいつも優しく微笑んで頷いていた。
…しかし、最近は…
梨央を見つめる瞳がやや寂しげな色を帯びていることに梨央は気づいていた。
…そして、私も月城に以前のように無邪気に接することができなくなっている…。
…なぜなのかしら…。
身体が大人になり始めたから?
…私は一体どうしてしまったのかしら…。

物思いに耽る梨央の顔を光が覗き込む。
「…誰のことを考えてるの?」
「…え?」
梨央は慌てて首を振る。
「いいえ。…なんでもないわ」
光は梨央の瞳を眇めるように見つめ、その指で梨央の顎を捉える。
そして、甘くしっとりした声で囁く。
「…梨央さんとパリで暮らしたいわ…二人きりで…誰にも邪魔されずに…ずっと一緒に」
「…光おねえさ…」
最後の語尾は光の唇の中に絡めとられた。
光は謎めいた眼差しで梨央に魔術をかけるように見つめ、その唇に口づけした。
甘く切ないキス…
光の滑らかな舌が梨央の初々しい舌を捉え、一瞬だけ絡み、離れる。
「…んっ…は…あ…」
梨央は思わず光の手練たキスの快美感に酔いながらも、驚きに声をあげる。
「お、お姉様…!な、なにをなさるの…?」
光はぱっと表情を変え、陽気に笑い勢いよく浴槽から立ち上がる。
「大人になった記念に大人のベーゼのプレゼントよ。bebeちゃん」
梨央はむっとして膨れる。
「もう!また赤ちゃん扱いなさる!」
光は笑いながら梨央を手招きする。
「さあ、湯あたりなさる前に身体を洗って差し上げるわ」
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