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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 Fly me to the Moon
「…本当に、怖くないですか?」
梨央は馬に乗るのは初めてである。
見事なサラブレッドの鼻先を恐る恐る触りながら、不安そうに縣を見上げる。
縣は梨央を安心させるように優しく微笑んだ。
「大丈夫ですよ。アルフレッドは今まで暴れたことは一度もない穏やかな馬なんです」
そう言うと縣は鞍に手をかけ、颯爽と騎乗の人となった。
まだ不安そうな梨央に、月城はそっと声をかける。
「…では梨央様、私の肩にお掴まりください」
梨央は月城を見上げ、少し恥ずかしそうに頷き月城の首に手を回す。
小さな頃から何度も数え切れないほど、梨央を抱き上げてきた月城だ。
そして、今までは何の頓着もなく無邪気に月城に抱き上げられていた梨央だが、今日は違った。
月城が梨央の背中を抱き、膝を横抱きにした瞬間、身体をぎゅっと縮め俯いてしまった。
月城の腕の中の梨央を見下ろすと、おずおずと顔をあげた梨央と目が合う。
言葉にならない感情が二人の間に交錯する。
…と、騎乗の縣がさりげなく手を差し出した。
「さあ、梨央さん。私に捕まって」
梨央ははっと、月城から視線を逸らし、縣に向って素直にその華奢な美しい腕を差し伸べる。
縣の男らしく逞しい腕が、力強く梨央の身体を抱き上げ、あっと言う間に自分の前の鞍に座らせる。
縣の上質なジャケットの腕が、しっかりと梨央のシフォンのドレスの細い腰を抱く。
「いかがですか?…怖くはないでしょう?」
縣の優しい声が響く。
「…ええ…思ったよりは…。馬の上って景色が違うのですね」
梨央のほっとした声が聞こえる。
少女らしい好奇心から梨央は辺りをきょろきょろ見渡している。
そんな梨央が愛しくてたまらないように縣は梨央を見つめて笑った。
「…良い眺めでしょう?」
「はい!」
「気に入っていただけて良かったです」
縣は梨央の腰を優しく、しかししっかりと抱きしめる。
梨央の頬が赤く染まり、恥ずかしそうに俯いた。

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