この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 Fly me to the Moon
梨央が寝室にと案内された部屋は、女性らしい繊細な装飾が施された贅の限りを尽くしたものであった。
高価なガレのランプが輝き、更にその豪奢さを引き立てていた。
メイドの皐月が梨央の就寝の支度を世話する。
「こちらのナイトドレスは旦那様がフランスからお帰りになる時にお持ち帰りにをなられたのですよ。こんなに豪華で美しいお洋服、見たことがありません」
羨ましげに皐月が広げて見せたドレスは、高価なレースをたっぷり使い、エレガントなデザインの、しかも着心地が良さげな素晴らしいものだった。
梨央は袖を通しながら、縣の優しく細やかな心遣いを嬉しく思う一方、温室での言葉を反芻せずにはいられなかった。

「私は梨央さんを妻に娶りたいのです…」
私が縣様の妻に…。
縣様が私の旦那様になる…。
想像すらしたことがない梨央であった。
…縣様と結婚する…。
結婚して…縣様の子供を産む…。

年より幼く、世間知らずの梨央ではあるが、男女が結婚をして何を行うのか…くらいはぼんやりと分かっていた。
男女の睦み合い…。
秘め事…。
若いメイド達が休憩中に騒ぎながら官能小説を回し読みしている場面に遭遇したこともあるし、図書室にある海外小説をめくっていてそのような場面が出てきて、慌てたこともある。
…あのようなはしたないことを…縣様と…?
ありえない…。
縣様はいついかなる時も、お美しくて冷静で優しくて…完璧な紳士ですもの…。
…想像できないわ…。

…不意に脳裏に月城の端正な顔が浮かんだ。
月城が裸の自分を掻き抱き、情熱的に求める姿を思い浮かべる…。
激しく唇を求められ、それに応える梨央…。
…と、突然胸が苦しくなるほど甘く切なく疼き、梨央は狼狽した。
…何を考えているの!梨央!
月城は私の執事なのよ。
そのようにいやらしいことを想像するなんて…私はどうかしているわ…!
梨央は自己嫌悪から首を振る。
目の前のバロック装飾の姿見には、潤んだ瞳、薔薇色の頬の悩ましい表情をした自分が映っていた。


/233ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ