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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 Fly me to the Moon

「…いかがされました?梨央様?」
皐月が訝しげにぼんやりしている梨央に声をかける。
はっと我に返った梨央は慌てて、ドレッサー前の椅子に腰掛ける。
「…いいえ…何でもありません」
皐月は梨央の長く美しい黒髪に丁寧にブラシを当てながら、屈託なく尋ねる。
「あの…梨央様、執事の月城さんですけど…」
はっと顔を上げる梨央。
「月城さんて、素敵ですよねえ…ハンサムで知的で背もお高くて眼鏡が良くお似合いで…ちょっと物憂げなところもキュンときちゃいます。
私、美男子の方は旦那様で慣れているはずなのに、今日間近で拝見したらドキドキしてしまいました!」
皐月は人懐こくて、明るい性格のようでうっとりと話しかけてくる。
「…そうね…」
梨央は小さく微笑む。
…月城は人気があるのね。
確かにうちの若いメイド達でも月城に夢中なものも多いと、ますみが言っていたわ…。
返事を貰った皐月は、恥ずかしそうに尚も尋ねる。
「あの…月城さんて、恋人はいらっしゃるんですか?」
梨央は困ったように笑う。
「…さあ…どうかしら…」
…月城に恋人…。
考えてみたこともなかったわ…。
いてもおかしくないわよね。
月城ももう26歳…。
「きっといらっしゃいますよねえ。あんなにハンサムなんですもの。ああ、どんな美人さんなのかしら…妬けちゃいます!」
身悶える皐月に苦笑しながら、梨央は鏡の中の自分を見つめる。
…月城に恋人…。
もしいたとしたら…どんな人なのかしら。
屋敷のメイド?
それとも大学時代の?
綺麗な人なのかしら?
お年はいくつくらいかしら?
梨央は今まで感じたことがない胸のざわめきを感じずにはいられなかった。
そしてそんな自分に激しく戸惑うのだった。
皐月が訝しげにぼんやりしている梨央に声をかける。
はっと我に返った梨央は慌てて、ドレッサー前の椅子に腰掛ける。
「…いいえ…何でもありません」
皐月は梨央の長く美しい黒髪に丁寧にブラシを当てながら、屈託なく尋ねる。
「あの…梨央様、執事の月城さんですけど…」
はっと顔を上げる梨央。
「月城さんて、素敵ですよねえ…ハンサムで知的で背もお高くて眼鏡が良くお似合いで…ちょっと物憂げなところもキュンときちゃいます。
私、美男子の方は旦那様で慣れているはずなのに、今日間近で拝見したらドキドキしてしまいました!」
皐月は人懐こくて、明るい性格のようでうっとりと話しかけてくる。
「…そうね…」
梨央は小さく微笑む。
…月城は人気があるのね。
確かにうちの若いメイド達でも月城に夢中なものも多いと、ますみが言っていたわ…。
返事を貰った皐月は、恥ずかしそうに尚も尋ねる。
「あの…月城さんて、恋人はいらっしゃるんですか?」
梨央は困ったように笑う。
「…さあ…どうかしら…」
…月城に恋人…。
考えてみたこともなかったわ…。
いてもおかしくないわよね。
月城ももう26歳…。
「きっといらっしゃいますよねえ。あんなにハンサムなんですもの。ああ、どんな美人さんなのかしら…妬けちゃいます!」
身悶える皐月に苦笑しながら、梨央は鏡の中の自分を見つめる。
…月城に恋人…。
もしいたとしたら…どんな人なのかしら。
屋敷のメイド?
それとも大学時代の?
綺麗な人なのかしら?
お年はいくつくらいかしら?
梨央は今まで感じたことがない胸のざわめきを感じずにはいられなかった。
そしてそんな自分に激しく戸惑うのだった。

