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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 Fly me to the Moon

ガタガタと鳴る窓硝子の音で梨央は目覚めた。
目の前に漆黒の闇が広がる。
サイドテーブルのランプの灯りが消えてしまっていた。
油が切れたようだ。
窓硝子が生き物のように鳴る音に続き、風が唸る音、庭の大木が枝をしならせ、ざわざわと鳴る音…。
それに加え大きな雨音が耳に迫る。
先ほどまでの穏やかな天気が嘘のようだ。
…雨?
嵐のようだわ…。
梨央は14歳になった今も、暗闇が苦手だ。
枕元の灯りを点けておかなくては、寝られない。
嵐や風の音も嫌いだ。
…まさか、雷は落ちないわよね…。
梨央は怯えながら、枕元の呼び鈴に手を伸ばす。
…真夜中にメイドを呼ぶのは気が引けるけれど、新しいランプを持って来てもらわなくては…。
…と、その時、突然部屋が昼間のように明るくなり、次の瞬間、すさまじい雷鳴が轟き、地響きを立てて雷が落ちた。
その衝撃に、梨央は手から呼び鈴を取り落としてしまった。
余りの恐怖に声も出ず、ブランケットを被りひたすら耳を抑える。
バリバリという何かを切り裂く音が響いた。
雷は山荘の敷地内の木に落ちたようだ。
続け様に幾度も雷鳴が轟く。
雨音や風は強さを増すばかりだ。
窓硝子は今にも割れそうなほど、ガタガタと音を立てていた。
小さな頃、屋敷の大木に雷が落ち、あわや出火の一大事になりかけたことがあった。
梨央は目の前でそれを目撃してしまい、気を失った。
それ以来、梨央は病的なまでに雷を怖れるようになったのだ。
…怖い…怖い!
誰か…!お父様…!…月城…!
月城!助けて…!助けて…!
梨央はがたがたと身体を震わせながら、心の中で月城の名を叫んだ。
あの日、気を失った梨央を抱きしめ、ずっと介抱してくれていたのが月城だった。
意識を取り戻し、狂ったように泣きわめく梨央を強く、優しく抱きしめ、月城は励まし続けた。
「梨央様!大丈夫です。私が…月城がおります!月城が梨央様のお側にずっとおります。ご安心下さい!」
…月城…!
助けて…!
あの日みたいに…私を助けて…!
梨央は涙を流しながら声にならない叫びを、胸の中で繰り返した。
目の前に漆黒の闇が広がる。
サイドテーブルのランプの灯りが消えてしまっていた。
油が切れたようだ。
窓硝子が生き物のように鳴る音に続き、風が唸る音、庭の大木が枝をしならせ、ざわざわと鳴る音…。
それに加え大きな雨音が耳に迫る。
先ほどまでの穏やかな天気が嘘のようだ。
…雨?
嵐のようだわ…。
梨央は14歳になった今も、暗闇が苦手だ。
枕元の灯りを点けておかなくては、寝られない。
嵐や風の音も嫌いだ。
…まさか、雷は落ちないわよね…。
梨央は怯えながら、枕元の呼び鈴に手を伸ばす。
…真夜中にメイドを呼ぶのは気が引けるけれど、新しいランプを持って来てもらわなくては…。
…と、その時、突然部屋が昼間のように明るくなり、次の瞬間、すさまじい雷鳴が轟き、地響きを立てて雷が落ちた。
その衝撃に、梨央は手から呼び鈴を取り落としてしまった。
余りの恐怖に声も出ず、ブランケットを被りひたすら耳を抑える。
バリバリという何かを切り裂く音が響いた。
雷は山荘の敷地内の木に落ちたようだ。
続け様に幾度も雷鳴が轟く。
雨音や風は強さを増すばかりだ。
窓硝子は今にも割れそうなほど、ガタガタと音を立てていた。
小さな頃、屋敷の大木に雷が落ち、あわや出火の一大事になりかけたことがあった。
梨央は目の前でそれを目撃してしまい、気を失った。
それ以来、梨央は病的なまでに雷を怖れるようになったのだ。
…怖い…怖い!
誰か…!お父様…!…月城…!
月城!助けて…!助けて…!
梨央はがたがたと身体を震わせながら、心の中で月城の名を叫んだ。
あの日、気を失った梨央を抱きしめ、ずっと介抱してくれていたのが月城だった。
意識を取り戻し、狂ったように泣きわめく梨央を強く、優しく抱きしめ、月城は励まし続けた。
「梨央様!大丈夫です。私が…月城がおります!月城が梨央様のお側にずっとおります。ご安心下さい!」
…月城…!
助けて…!
あの日みたいに…私を助けて…!
梨央は涙を流しながら声にならない叫びを、胸の中で繰り返した。

