この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第2章 My Fair Lady
月城は微笑みながら、梨央の手を握る。
「…今の私は幸せです。梨央様にお会いできましたから」
「本当?」
「…ええ。…ですから、私も梨央様を生涯お守りいたします。この命に替えましても…必ず…」
…こんなに小さな子供に…なぜこんなにも惹かれるのか…。
分からない。分からないが…
梨央様は僕の運命の主人なのだ。
…それだけは分かる。

梨央は恥ずかしそうに眩しそうに笑った。
「…月城は、私の騎士だから?」
「はい。騎士は姫君を命懸けでお守りするものです。…ですから、梨央様はどうぞご安心なさってお寝み下さい。怖いものや悪いものはこの月城が近づかせません」
「…おばけも来ない?」
「はい。私が退治しますから」
梨央はぱっと陽が射したように笑い、起き上がる。
そして月城の耳元に愛らしい唇を近づけ…
「…月城、だいすき」
と呟き、再び寝台に横になり目を閉じた。

「…梨央様…」
温かい梨央の吐息がかかった耳が熱い。
月城はそっと自分の耳にふれた。
そして、うとうとと眠りに就こうとしている梨央にひとりごちた。
「…私もです…梨央様…」


暫くして、すっかり眠りに落ちた梨央にそっと毛布をかけて、ランプの灯りを絞ろうとした時…、
扉が軽くノックされた。
振り返ると、正装姿の北白川伯爵が佇んでいた。
夜会から帰宅したらしい。

「…驚いたな。来た初日で梨央を寝かしつけられるとは…」
端正な目元が笑っている。
「勝手なことをいたしまして、申し訳ありません」
月城は折り目正しく一礼する。
「いや、構わない」
伯爵は静かに寝台に近づき腰をかけ、天使のように無垢な顔で眠る梨央の頬を優しく撫でる。
「…なぜなら私はそのためにお前を選んだのだから…」
「旦那様…」
「…梨央を守ってくれるか?生涯をかけて…」
美しい瞳がきらりと光る。
月城は伯爵の瞳を見つめ返し、頷く。
「はい。旦那様にお誓い申し上げます。
私の命に替えましても、必ず…必ず梨央様をお守りいたします」
「…ありがとう、月城。
…梨央、お前の騎士はやはり賢く勇敢で誠実で…そして誰よりも美しい。私の目に狂いはなかった」
伯爵はそう言って、梨央の清らかな額に愛しげにキスをした。

…その一枚の絵画のような美しい情景に、月城はただただ瞬きするのも忘れて見惚れていたのだった。
/233ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ