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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第2章 My Fair Lady
月城は微笑みながら、梨央の手を握る。
「…今の私は幸せです。梨央様にお会いできましたから」
「本当?」
「…ええ。…ですから、私も梨央様を生涯お守りいたします。この命に替えましても…必ず…」
…こんなに小さな子供に…なぜこんなにも惹かれるのか…。
分からない。分からないが…
梨央様は僕の運命の主人なのだ。
…それだけは分かる。
梨央は恥ずかしそうに眩しそうに笑った。
「…月城は、私の騎士だから?」
「はい。騎士は姫君を命懸けでお守りするものです。…ですから、梨央様はどうぞご安心なさってお寝み下さい。怖いものや悪いものはこの月城が近づかせません」
「…おばけも来ない?」
「はい。私が退治しますから」
梨央はぱっと陽が射したように笑い、起き上がる。
そして月城の耳元に愛らしい唇を近づけ…
「…月城、だいすき」
と呟き、再び寝台に横になり目を閉じた。
「…梨央様…」
温かい梨央の吐息がかかった耳が熱い。
月城はそっと自分の耳にふれた。
そして、うとうとと眠りに就こうとしている梨央にひとりごちた。
「…私もです…梨央様…」
暫くして、すっかり眠りに落ちた梨央にそっと毛布をかけて、ランプの灯りを絞ろうとした時…、
扉が軽くノックされた。
振り返ると、正装姿の北白川伯爵が佇んでいた。
夜会から帰宅したらしい。
「…驚いたな。来た初日で梨央を寝かしつけられるとは…」
端正な目元が笑っている。
「勝手なことをいたしまして、申し訳ありません」
月城は折り目正しく一礼する。
「いや、構わない」
伯爵は静かに寝台に近づき腰をかけ、天使のように無垢な顔で眠る梨央の頬を優しく撫でる。
「…なぜなら私はそのためにお前を選んだのだから…」
「旦那様…」
「…梨央を守ってくれるか?生涯をかけて…」
美しい瞳がきらりと光る。
月城は伯爵の瞳を見つめ返し、頷く。
「はい。旦那様にお誓い申し上げます。
私の命に替えましても、必ず…必ず梨央様をお守りいたします」
「…ありがとう、月城。
…梨央、お前の騎士はやはり賢く勇敢で誠実で…そして誰よりも美しい。私の目に狂いはなかった」
伯爵はそう言って、梨央の清らかな額に愛しげにキスをした。
…その一枚の絵画のような美しい情景に、月城はただただ瞬きするのも忘れて見惚れていたのだった。
「…今の私は幸せです。梨央様にお会いできましたから」
「本当?」
「…ええ。…ですから、私も梨央様を生涯お守りいたします。この命に替えましても…必ず…」
…こんなに小さな子供に…なぜこんなにも惹かれるのか…。
分からない。分からないが…
梨央様は僕の運命の主人なのだ。
…それだけは分かる。
梨央は恥ずかしそうに眩しそうに笑った。
「…月城は、私の騎士だから?」
「はい。騎士は姫君を命懸けでお守りするものです。…ですから、梨央様はどうぞご安心なさってお寝み下さい。怖いものや悪いものはこの月城が近づかせません」
「…おばけも来ない?」
「はい。私が退治しますから」
梨央はぱっと陽が射したように笑い、起き上がる。
そして月城の耳元に愛らしい唇を近づけ…
「…月城、だいすき」
と呟き、再び寝台に横になり目を閉じた。
「…梨央様…」
温かい梨央の吐息がかかった耳が熱い。
月城はそっと自分の耳にふれた。
そして、うとうとと眠りに就こうとしている梨央にひとりごちた。
「…私もです…梨央様…」
暫くして、すっかり眠りに落ちた梨央にそっと毛布をかけて、ランプの灯りを絞ろうとした時…、
扉が軽くノックされた。
振り返ると、正装姿の北白川伯爵が佇んでいた。
夜会から帰宅したらしい。
「…驚いたな。来た初日で梨央を寝かしつけられるとは…」
端正な目元が笑っている。
「勝手なことをいたしまして、申し訳ありません」
月城は折り目正しく一礼する。
「いや、構わない」
伯爵は静かに寝台に近づき腰をかけ、天使のように無垢な顔で眠る梨央の頬を優しく撫でる。
「…なぜなら私はそのためにお前を選んだのだから…」
「旦那様…」
「…梨央を守ってくれるか?生涯をかけて…」
美しい瞳がきらりと光る。
月城は伯爵の瞳を見つめ返し、頷く。
「はい。旦那様にお誓い申し上げます。
私の命に替えましても、必ず…必ず梨央様をお守りいたします」
「…ありがとう、月城。
…梨央、お前の騎士はやはり賢く勇敢で誠実で…そして誰よりも美しい。私の目に狂いはなかった」
伯爵はそう言って、梨央の清らかな額に愛しげにキスをした。
…その一枚の絵画のような美しい情景に、月城はただただ瞬きするのも忘れて見惚れていたのだった。