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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 Fly me to the Moon

呼び鈴を聞きつけたメイドの皐月が現れる。
梨央の切迫した様子に立ちすくむ皐月に、縣は梨央の背中を撫でさすりながら、鋭く告げる。
「今すぐ主治医の生田先生を呼んでくれ」
「は、はい…でも…こんな夜中で…」
躊躇する皐月に、縣は珍しく声を荒げた。
「叩き起こしてでも来て貰うのだ!急ぎなさい!」
日頃目にしたことのない縣の切羽詰った様子に、皐月は驚きながら慌てて医者を呼びに行こうとした刹那…
廊下から慌ただしい数人の足音が聞こえて来た。
皐月が廊下を振り返る。
「月城さん⁈」
風のように飛び込んできたのは、執事の月城…そして光だった。
縣は梨央を抱きしめたまま、眼を見開き月城を見る。
「月城!」
月城は丁重にお辞儀をし、己の非礼を詫びる。
「縣様、突然案内もなくお邪魔する失礼をお許し下さい。責めは後ほどいくらでも受けます。梨央様のご無事を確認いたしましたら…」
月城の端正な瞳が眼鏡越しに鋭く光り、その名を叫ぶ。
「梨央様!」
梨央が苦しそうに咳き込み、肩で息をしている。
顔色は紙のように白い。
素早く縣の腕の中の梨央に、駆け寄る。
「梨央さん!」
光も心配そうに後に続く。
「落雷のショックで喘息の発作を起こされたようだ」
縣が端的に説明する。
月城が梨央の顔を上向けにして呼びかける。
「梨央様!月城です!お苦しいですか?」
激しく咳き込んでいた梨央が、うっすらと瞼を開いた。
「…つきしろ…月城な…の?」
「はい、月城が参りました。どうぞご安心下さい」
「…月城…来てくれたの…ね…」
梨央の瞳からはらはらと透明な涙が流れる。
しかし、月城の胸にもたれかかり、そのまま息を詰まらせてしまう。
月城は胸ポケットから素早く錠剤を取り出す。
「お水をいただけますか?」
縣が水差しの水をクリスタルのグラスに注ぎ渡す。
「梨央様、お薬です。お飲みになればお楽になられます。お口をお開け下さい」
長時間咳き込み、呼吸困難となってしまった梨央に月城は必死で語りかけ、薬を飲ませようとする。
…が、もはや肩で息をするだけの梨央に、薬を嚥下する力は残っていなかった。
縣が焦れたように叫ぶ。
「皐月!早く生田先生を!」
「は、はい!」
弾かれたように部屋を出ようとした皐月は、驚くべき光景を目にして思わず脚を止めた。
梨央の切迫した様子に立ちすくむ皐月に、縣は梨央の背中を撫でさすりながら、鋭く告げる。
「今すぐ主治医の生田先生を呼んでくれ」
「は、はい…でも…こんな夜中で…」
躊躇する皐月に、縣は珍しく声を荒げた。
「叩き起こしてでも来て貰うのだ!急ぎなさい!」
日頃目にしたことのない縣の切羽詰った様子に、皐月は驚きながら慌てて医者を呼びに行こうとした刹那…
廊下から慌ただしい数人の足音が聞こえて来た。
皐月が廊下を振り返る。
「月城さん⁈」
風のように飛び込んできたのは、執事の月城…そして光だった。
縣は梨央を抱きしめたまま、眼を見開き月城を見る。
「月城!」
月城は丁重にお辞儀をし、己の非礼を詫びる。
「縣様、突然案内もなくお邪魔する失礼をお許し下さい。責めは後ほどいくらでも受けます。梨央様のご無事を確認いたしましたら…」
月城の端正な瞳が眼鏡越しに鋭く光り、その名を叫ぶ。
「梨央様!」
梨央が苦しそうに咳き込み、肩で息をしている。
顔色は紙のように白い。
素早く縣の腕の中の梨央に、駆け寄る。
「梨央さん!」
光も心配そうに後に続く。
「落雷のショックで喘息の発作を起こされたようだ」
縣が端的に説明する。
月城が梨央の顔を上向けにして呼びかける。
「梨央様!月城です!お苦しいですか?」
激しく咳き込んでいた梨央が、うっすらと瞼を開いた。
「…つきしろ…月城な…の?」
「はい、月城が参りました。どうぞご安心下さい」
「…月城…来てくれたの…ね…」
梨央の瞳からはらはらと透明な涙が流れる。
しかし、月城の胸にもたれかかり、そのまま息を詰まらせてしまう。
月城は胸ポケットから素早く錠剤を取り出す。
「お水をいただけますか?」
縣が水差しの水をクリスタルのグラスに注ぎ渡す。
「梨央様、お薬です。お飲みになればお楽になられます。お口をお開け下さい」
長時間咳き込み、呼吸困難となってしまった梨央に月城は必死で語りかけ、薬を飲ませようとする。
…が、もはや肩で息をするだけの梨央に、薬を嚥下する力は残っていなかった。
縣が焦れたように叫ぶ。
「皐月!早く生田先生を!」
「は、はい!」
弾かれたように部屋を出ようとした皐月は、驚くべき光景を目にして思わず脚を止めた。

