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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 Fly me to the Moon
月城は何度か梨央にグラスの水を飲ませようと試みたが、嚥下する力がない為に水はいたずらにナイトドレスの胸を濡らすばかりだった。
月城は意を決したように、梨央を抱き直し、顎を持ち上げた。
「…梨央様、失礼いたします」
そして、月城は錠剤と水を口に含むと、口移しでそれを梨央の口内に送り込んだ。
「…!」
縣の息を呑む音が聞こえる。
梨央の柔らかな薔薇の蕾のような唇は月城の唇に優しく押し開かれ、噛み砕かれた錠剤と水がゆっくりと喉を通ってゆく。
乾いた喉にようやく潤いを与えられた梨央の唇はあえかな溜息を漏らす。
「…んっ…あ…ん…っ…」
可憐な唇が半開きになり、呼吸が戻ってきた。
月城はもう一度、口に水を含むと梨央の唇にそれを送り込む。
喉の渇きに気づいた梨央は、無意識に月城の唇を尚も求める。
「…んっ…もっと…」
甘く掠れた声が発せられる。
縣は痛むような表情で、それでも梨央と月城の濃密なくちづけから目を離せないでいた。
「…梨央様…」
繰り返される月城の口移しの水が梨央の呼吸を次第に正常にし、梨央の意識を覚醒させる。

ようやく、梨央は意識を取り戻し、ぼんやりとした眼差しで目の前の男を見つめた。
「…つき…しろ?」
「はい、梨央様。お気がつかれましたか?…良かった!」
梨央は意識を取り戻しはしたが、まだ心は夢うつつの状態のようだ。
震える手で、月城の首筋にしがみつき、再び静かに泣き始めた。
「…月城…月城…怖かった…怖かったの…」
月城は縋り付く梨央を強く抱きしめる。
「もう大丈夫です。発作も収まりました。雷もどこかに行ってしまいました。梨央様がご心配なさることはなにもありません」
幼子に言い聞かせるように耳元に囁きかける。
「…月城…梨央は…おうちに帰りたい…おうちに連れていって…おねがい…!」
「梨央様…。承知いたしました。…お屋敷に戻りましょう」
月城は梨央を横抱きに抱いたまま、すらりと立ち上がる。
目の前には静かに、しかしある決意に満ちた熱を湛えた縣の端正な顔があった。
怒りとも悲しみともつかぬ複雑な表情であった。
…しかし、どこか二人の関係性に憧憬するような色も帯びていた。
「…縣様…」
月城が口を開く前に縣は静かに扉を開けた。
「…梨央さんの願いだ。…帰りたまえ。…梨央さんを頼むよ…」
月城は縣を見つめ丁重にお辞儀をすると梨央を抱いたまま部屋を出た。



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