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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 Fly me to the Moon
翌朝、光は軽井沢を引き上げる支度を始めた。
メイドに的確な指示を与えながら、荷物を纏める光に梨央は本心から引き止めた。
「…光お姉様、本当にもうパリにお帰りになるの?あと数日したら、お父様がこちらに見えるのに…。光お姉様にお会いになるのを楽しみにしていらっしゃるのよ?そんなに早くお帰りにならなくても…」
光は書籍を纏める手を止めて、梨央に明るく答える。
「ありがとう、梨央さん。叔父様にはお会いしたいけれど、私も神谷町の両親に顔を見せてくるわ。…パリに戻ったらまた暫く会えないしね。本当はこちらに着いてから、早く顔を見せなさいと矢の催促だったの。パリから直接こちらに来てしまったからね。母の手紙は小言ばかりよ。北白川のおうちにご迷惑をかけていないかヒヤヒヤしていたみたい」
娘らしい悪戯っぽい表情の光につられて梨央も思わず笑いを漏らす。
「…迷惑だなんて…。梨央は本当に光お姉様と過ごせて楽しかったのよ。…お姉様が行っておしまいになるのがとても寂しいわ…」
梨央は憂いを帯びた顔になる。
光は梨央の手を取り、二人並んで豪奢な寝台の端に腰かける。
「ありがとう、梨央さん。…あんなことをした私にそう言って下さって…」
梨央は首を振る。
そして以前と同じように光に子供のように抱きつく。
「そんなこと…。だって、梨央は光お姉様が大好きだもの。今も…これからもずっとよ。お姉様を好きな気持ちは変わらないわ」
白いドレスに包まれた華奢な梨央の身体を光は優しく抱きしめた。
「…ありがとう、梨央さん。私もよ。私も梨央さんが大好き。ずっとずっと愛しているわ」
「…光お姉様…」
光は梨央の艶やかな頬を撫でながら、額を合わせる。
「…どこにいても、貴女の幸せを祈っているわ。私の愛する可愛い梨央さん…」
「…光お姉様…」
梨央は光を見つめると、おずおずとぎこちなく、しかし、そっと愛情を込めて光の唇にキスをした。
光は一瞬目を見張り、美しい顔に柔らかな微笑を浮かべて梨央を抱きしめた。
「ありがとう、梨央さん。大好きよ」
「…梨央もよ、梨央もお姉様が大好きよ」
二人は再び額をくっつけるとまるで子供の頃のように屈託無く笑い合ったのだった。
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