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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 Fly me to the Moon
光は月城に動揺を感じとられまいと、そのままわざとぞんざいに階段を駆け下りようとした。
…何を私は慌てているの?
こんな…一度戯れのキスをしただけの執事に…
私らしくもないわ…。

光の急な行動に月城は心配そうに声をかける。
「…光様?どうされましたか?」
光は月城に背を向けたまま動かない。
すらりとした後ろ姿、白い絹のブラウスに黒い細身のパンツスタイル…。
断髪の髪はさらさらと音を立てそうにしなやかで絹糸のようだ。
…非の打ち所がない美しい侯爵令嬢は、ややあって月城を振り返った。
胸をつかれるほど、儚げで頼りなげな表情の光がそこにはいた。

「…月城…」
「…はい」
月城は静かに次の言葉を待った。
「…パリから貴方に手紙を書いても良いかしら…?」
意外な言葉に月城は眼鏡越しの眼を見張る。
すぐに光は無愛想に言葉を添える。
「…迷惑なら書かないわ」
月城の胸の中に温かい感情がひたひたと満ちて来た。
「…迷惑など…。楽しみにお待ちしております」
光を包み込むように微笑む月城の顔を見た刹那、光は再びいつもの光に戻り、形の良い唇の端に皮肉めいた笑みを浮かべ
「…私は筆不精だから、期待しないで」
と言い捨てると、滑るように階段を駆け下り、あっと言う間に姿を消した。

…月城はそのまま微笑を消さずに暫くそこに留まっていたが、やがてメイドに指示を出す為に、静かにその場を立ち去ったのだった。
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