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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 Fly me to the Moon
そして光が軽井沢から去った日の夜。
じわじわとこみ上げる寂しさを胸に、梨央はシフォンの覆いに包まれた天蓋を見つめて寝返りを打った。
…光お姉様がいらっしゃらないベッドは広すぎるわ…。
光が軽井沢に来てからは、毎晩光に抱きしめられながら寝んでいたので、一人寝が寂しくて仕方がないのだ。
いつまで経っても眠りの世界に入ってゆけない梨央は、諦めて起き上がる。
月の光がまるで太陽のように明るく差し込む窓辺にゆっくりと近づく。
窓から月を眺めようと眼をやると…
…月城?
前庭の噴水のほとりに一人佇む月城の姿があった。
黒い細身の燕尾服に手にはランプを持っている。
…夜の見回りかしら?
梨央は窓硝子に手を押し当て、月城の姿を食い入るように見つめる。
離れていても、月城の怜悧にまで整った美貌は冴え冴えと輝いて見える。
まるで別世界の人のように静謐ななにかに包まれた月城の姿に、梨央はいいようのない焦燥感に胸を支配された。
…月城…。
じわじわとこみ上げる寂しさを胸に、梨央はシフォンの覆いに包まれた天蓋を見つめて寝返りを打った。
…光お姉様がいらっしゃらないベッドは広すぎるわ…。
光が軽井沢に来てからは、毎晩光に抱きしめられながら寝んでいたので、一人寝が寂しくて仕方がないのだ。
いつまで経っても眠りの世界に入ってゆけない梨央は、諦めて起き上がる。
月の光がまるで太陽のように明るく差し込む窓辺にゆっくりと近づく。
窓から月を眺めようと眼をやると…
…月城?
前庭の噴水のほとりに一人佇む月城の姿があった。
黒い細身の燕尾服に手にはランプを持っている。
…夜の見回りかしら?
梨央は窓硝子に手を押し当て、月城の姿を食い入るように見つめる。
離れていても、月城の怜悧にまで整った美貌は冴え冴えと輝いて見える。
まるで別世界の人のように静謐ななにかに包まれた月城の姿に、梨央はいいようのない焦燥感に胸を支配された。
…月城…。