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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 Fly me to the Moon
梨央の肩にふわりと優しく掛けられた月城の上着からは、水仙のような香りと月城の温もりが伝わった。
梨央は上着の端をぎゅっと握りしめ、月城を見上げた。
「…月城も座って。…私の隣に来て…」
月城は静かに微笑むと、黙って隣に座った。

二人で並んで月を見上げる。
今宵は満月…。
漆黒の夜空には黄金に輝く完璧な満月が浮かんでいる。
…以前にもこうして月城と月を眺めたことがあったわ。
あれは…お父様がイギリスにお帰りになった夜…。
お父様に会いたがる私を月城が、抱っこして庭に連れ出してくれた…。

「…光様がお帰りになられてお寂しいでしょうが、明後日には旦那様がこちらにお見えになります。
狭霧さんもご同行になりますし、またこの別荘も賑やかになりますよ」
梨央の気持ちを盛り上げようと、明るい口調で語りかける。
「そうね、お父様にもうすぐお会いできるのね…」
…父、伯爵に会えることは嬉しい。
とても嬉しいが…
もはや梨央は父の不在で泣き続ける6歳の幼女ではなかった。
…私は変わってしまった。
なぜなら…
月城と今までのように無邪気に接することができないから…。
月城の隣にいるだけで、ドキドキする。
月城の優しく美しい瞳が私を見つめるだけで、泣きそうになる。
月城のことが、こんなにも気になる…。
…私はどうしてしまったのかしら…。
途方に暮れる梨央に、月城はまるで物語を聞かせるかのように語り出した。
「覚えておいでですか?
…昔、こうして梨央様とご一緒に月を眺めたことがござました」
「…覚えているわ。お父様に会いたいと泣きじゃくる私に、月城が月を見せてくれたの…。
そして…この月は世界中のどこででも見られるのだと。
…お父様もこの月を見ているから…だから寂しい時には月を見れば良いのだと…貴方は教えてくれたのよ」
梨央は月城を見上げる。
月城がゆっくりと梨央に視線を移す。
二人の視線は濃密に絡み合い、梨央は瞬きもせずに月城を見つめ続けた。
「…あの頃の梨央様は、私の腕にすっぽり入るくらいお小さくて、天使のように軽くていらっしゃいました…。
…いつのまにかご成長され、眩しいほどにお美しくなられました…」
…私が触れることなど許されぬほどに…貴女は美しすぎる…。
梨央の美貌が月の光に照らされ、この世のものとは思えぬ光を放っていた。
月城は何かに魅入られたかのように梨央の頬に手を伸ばす…。
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