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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 Fly me to the Moon
月城の長く繊細だが男らしい指が梨央の頬を包み込むように撫で上げ、そのまま上向きにされる。
梨央もまた何かに魅入られたかのように月城の月の光に照らされた端正な顔を見つめる。
美しく澄みきった瞳の中に、切なくも消しようもない情熱の光を見出す。
…月城…!
自分も同じ眼差しをしているに違いない。
そう思いながら、梨央は自ら月城のくちづけを求めるかのように、顔を近づける。
二人の吐息が触れ合い、月城の眼鏡のフレームが梨央の頬に触れるか触れないかの距離まで縮まった刹那…。

月城はふっと小さな息を吐き、二人の間の魔法を解くかのように、梨央の頬をさながら肉親の情愛の仕草で優しく撫で、そしてその手を静かに離した。
梨央は落胆の眼差しで月城を見つめる。
「…月城…」
月城は代わりに、梨央の華奢な芸術品のような手を愛おしそうに握る。
「…梨央様、梨央様は私のかけがえのない大切なただお一人のお方です。
梨央様の為なら、私はこの命さえ喜んで投げ出します。
私の一番の願いは、梨央様が誰よりもお幸せになられて輝かしい人生を歩まれることです」
月城の眼差しの中にはもう先ほどの熱い情動はなかった。
あるのは限りなく温かく慈愛に満ちた包み込むような愛の眼差しだ。
梨央は何か言おうとその可憐な薄桃色の唇を開いたが、それはとうとう言葉になることはなかった。
握られた手に力を込める。
そして、眼を閉じると月城の胸にかつてのように飛び込む。
「…梨央様?」
途惑ったような月城の声が聞こえる。
「…まだ…いいでしょう?こうしても…梨央はまだ14歳ですもの…まだ…月城に抱きついても…大人になったら…もう…こんな風に抱きつくことはできないのだから…」
梨央の声は震えていた。
月城は堪らずに、梨央の背中を強く抱きしめた。
「ええ…!…そうです…!
…梨央様はまだお子様です…ですから、私もこんな風に梨央様を抱きしめても、罪にはならないでしょう…梨央様…!」
「…月城…!…梨央は…大人になりたくない…ずっと…ずっと、月城とこうしていたい…!どこにも行きたくない…!
大人になるのが怖い…!梨央が…月城が…変わってしまうのが怖い…!」
「…梨央様!」
月城の胸は張り裂けそうに痛む。
梨央の言葉は自分の心を映す鏡だ。
…梨央様!
私こそ…私こそ…!
月城は梨央の華奢な身体を更に強く抱き締めた。
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