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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第6章 あの月の頂で
「…華子様…」
たじろぎ、言葉も出ない梨央に華子はゆっくりと近づく。
「…貴方、縣様の奥様をご立派に務められる自信はおあり?」
「…え?」
思わぬ言葉に梨央は目を見開く。
華子は歩を詰めながら続ける。
「縣様の奥様ともなれば、海外のお仕事に同行したり、外国人のお客様をもてなしたり…今日みたいな盛大なお茶会や夜会を主催してホステス役を務められたりするのよ。
…縣財閥の礎でもある筑豊の炭鉱にも縣様はしょっちゅう脚をお運びになって炭鉱夫を労われたりもなさるのよ。
…貴方に筑豊の荒くれ者の炭鉱夫達をもてなされる勇気はおありかしら?」
蒼ざめる梨央を冷笑しながら、華子はじりじりと薔薇の壁へと追い詰める。
「貴方みたいにお屋敷に引き込もって、お父様や使用人に赤ちゃんみたいに甘やかされて、人見知りだからと社交界にも顔を出さずにいるような弱虫に!一体何が出来るというの⁉︎」
「…⁉︎」
梨央は薔薇の生垣に背中を押し付けられる。
薔薇の鋭い棘が梨央の白くきめ細やかな練絹のような肌に突き刺さる。
しかし梨央は痛みを感じぬほどに驚愕し、迫り来る華子と…華子の放った言葉にショックを受けていた。
「…梨央様、貴方には何もできないわ…だって…」
華子は甘ったるく囁きながら、梨央の髪に飾られた白薔薇の髪飾りをゆっくりと引き抜く。
「…貴方はこの白薔薇のようにお綺麗で繊細で…何の役にも立たないお飾りですもの…!」
華子は白薔薇の髪飾りを手に取りじっと見つめる。
「…か、返してください…それは…」
渾身の勇気を振り絞り、梨央は懇願する。
華子は梨央を宥めるように笑う。
「…これ、縣様に挿していただいていたわね。縣様はどうして貴方みたいな綺麗なだけのお飾りのお人形みたいな方に夢中なのかしら…」
「…は、華子様…お願い…」
涙ぐみながら手を伸ばす梨央を嘲笑うかのように、華子は白薔薇の髪飾りを石畳みの床に放った。
「お拾いなさいな、北白川梨央様。縣様に戴いた大事な髪飾りでしょう?」
梨央は恐怖と屈辱に身体を震わせながらも床に屈み、落ちている白薔薇に手を伸ばした。
…と、同時に華子の銀色の靴先が白薔薇を捉え、容赦なく踏み躙った。
「…あ…!」
梨央が悲鳴のような声を上げる。
白薔薇は華子の靴に荒々しく踏み躙られ、その可憐な花弁を散らした。
「…酷い…」
梨央は散らされた白薔薇を握りしめて嗚咽を漏らした。
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