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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第6章 あの月の頂で
月城は温室での一件を伯爵に説明した。
「…私も目撃した訳ではありませんが、あの状況と華子様の言動から察しますと、そう判断せざるを得ません」
梨央は決して華子に髪飾りを踏み躙られ、なじられたとは言わなかった。
帰宅直後はただ怯えて涙を流し、そして数日経過した今は、一件に関してはひたすら黙し、語ろうとはしない。
ただひどく塞ぎ込み、何かを考え込むようにぼんやりとしている。
「…そうか…。世間では同じ年頃の娘同士の諍いは珍しいことではないだろうが、梨央は俗世とは隔離された生活を送っているからな。さぞかし傷ついたことだろう。
…可哀想に…」
伯爵は痛ましそうに溜息を吐いた。
月城の手からしなやかな動きで縣の手紙を受け取り、狭霧がうっとりするような美しい声で尋ねた。
「…お返事はどういたしますか?縣家の下僕が、お返事を頂くまでは帰れませんと今にも泣きそうな顔で、階下の応接間で待っておりますが…」
伯爵は可笑しそうに微笑む。
「礼也君は相変わらず梨央に夢中だな。梨央が6歳の年から、かれこれ10年か…。実に辛抱強い青年だ」
「…梨央様は年を追うごとに目を見張るばかりのお美しいお嬢様にご成長されていますから、無理からぬことでしょう。
…ねえ、月城君?」
狭霧が相も変わらぬ艶めいた眼差しで月城を見る。
「…はい。…梨央様は誠にお美しくなられました」
…お近くで拝見するのが眩いほどです…。
小さな声で付け加える。
伯爵は優しく月城に微笑む。
「梨央の体調はどうだ?」
「昨日あたりからお熱も下がられ、お部屋の中で読書をされたりとだいぶお元気になられました」
「…礼也君の見舞いを受けるか聞いてみてくれ。
梨央の気持ちが大事だ」
「かしこまりました」
月城は一礼すると、梨央の部屋に向かうべく書斎を後にした。

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