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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第6章 あの月の頂で
梨央は縣の腕をそっと外し、抱擁から逃れる。
「…縣様の奥様となればお茶会や夜会などの際に、お客様をおもてなししたり、皆様とお話ししたりしなくてはならないでしょう。…私は…たくさんの人が集まるところが怖いのです。…そんな私が、きちんとホステス役を務めることなど不可能です。
…きっと縣様にご迷惑をかけてしまいます…」
縣は首を振り、真剣な眼差しで梨央を見つめる。
「そのようなことをご心配なさっていたのですか?」
そして梨央の華奢な手を再び捉え、大きな両手で包み込む。
「…梨央さんが人前に出ることが苦痛でしたら、なさらなくて構わないのです。私がもてなせば良いだけの話です」
「…縣様はお仕事で世界中を飛び回っていらっしゃいます。それに同行することが私に出来るでしょうか?…身体も弱く、人見知りばかりする私に…」
縣は梨央の手を引き寄せる。
「…梨央さんが望まれないなら、そんなことはなさらなくて良いのです。…私の屋敷に馴染めなかったら、こちらにずっといらしても構わないのです。私が、こちらに参ります」
「…そんな…!」
縣は梨央の抗議の言葉を最後まで言わせるつもりはなかった。
梨央の滑らかで白い頬を両手で包み込み、熱い眼差しで見つめる。
「…私は…梨央さんを妻に迎えることが出来たら、それで充分幸せなのです。…梨央さん、愛しています…!」
次の瞬間、梨央の唇は縣のそれに情熱的に奪われていた。
「…あ…!…んっ…」
「…愛している…梨央さん…!誰よりも…貴女だけを…ずっと…ずっと…」
愛の言葉の合間に、縣は梨央の可憐で柔らかな唇を貪り続ける。
「…あ…んんっ…は…あ…」
梨央が吐息混じりの甘い声を上げる。

月城は思わず2人から目を背け、扉に背を向けた。
縣の甘く情熱的な言葉は続く。
「…貴女に初めてお会いした時から…ずっと恋をしていました…小さな可愛いお姫様のような梨央さんを…」
甘く優しい言葉とは裏腹に、縣の成熟した巧みなくちづけは大胆に続けられる。
「…んっ…ああ…ん…」
梨央の幼気で未熟な果実の唇を縣は貪り尽くす。
その未知の快感に、梨央は次第に応え始めていた。
縣はそんな梨央を優しくしかし大胆に導きながら、次第に濃厚な大人のくちづけを与える。
「…貴女が大人になられるのをずっとお待ちしていました。こんなにもお美しく気高くご成長されて…梨央さん…!」




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