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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第6章 あの月の頂で
廊下に立ち竦んでいる月城が、ゆっくりと部屋の方を見遣る。
祈るようにして息を詰める。
暫くして梨央の小さな声が聞こえた。
「…縣様…でも…私は…」
縣は梨央の髪を優しく梳きあげる。
そしてまだ紅潮しているすべらかな頬にそっと手を当てる。
「梨央さんは私が好きですか?」
梨央は直ぐに頷く。
「…けれど、恋をしてはいませんね?」
驚いて縣を見上げると、縣は優しい…しかしどこか寂し気な表情で微笑んだ。
「…いいのです。分かっています。梨央さんが私に恋をしてはおられないことは…」
「でも…お慕いしています…!」
梨央は堪らずに叫んだ。
「縣様といると、お父様のお側にいるかのように安心します。…縣様とお会いするととても楽しいです。
…外国に行かれているときは寂しくて…早くお帰りにならないかといつもお待ちしています」
必死で思いを伝えようとする梨央が愛しくて、縣は優しく抱き締める。
「…ありがとうございます。…充分です。私は梨央さんと結婚して、貴女を一番に護れる存在になりたいのです。
貴女とご一緒に生きて行きたいのです。
ですから…私と結婚してください。
梨央さんはそのままでいい。変わらなくていい。そのままの梨央さんを、私は愛しているのだから…」
「…縣様…!」
声が聞き取れなくなったのは、縣が再び梨央の唇を奪ったからだろう。
月城はもう一度部屋の方を見つめ、そして静かに目を伏せるとそっとその場から離れた。
祈るようにして息を詰める。
暫くして梨央の小さな声が聞こえた。
「…縣様…でも…私は…」
縣は梨央の髪を優しく梳きあげる。
そしてまだ紅潮しているすべらかな頬にそっと手を当てる。
「梨央さんは私が好きですか?」
梨央は直ぐに頷く。
「…けれど、恋をしてはいませんね?」
驚いて縣を見上げると、縣は優しい…しかしどこか寂し気な表情で微笑んだ。
「…いいのです。分かっています。梨央さんが私に恋をしてはおられないことは…」
「でも…お慕いしています…!」
梨央は堪らずに叫んだ。
「縣様といると、お父様のお側にいるかのように安心します。…縣様とお会いするととても楽しいです。
…外国に行かれているときは寂しくて…早くお帰りにならないかといつもお待ちしています」
必死で思いを伝えようとする梨央が愛しくて、縣は優しく抱き締める。
「…ありがとうございます。…充分です。私は梨央さんと結婚して、貴女を一番に護れる存在になりたいのです。
貴女とご一緒に生きて行きたいのです。
ですから…私と結婚してください。
梨央さんはそのままでいい。変わらなくていい。そのままの梨央さんを、私は愛しているのだから…」
「…縣様…!」
声が聞き取れなくなったのは、縣が再び梨央の唇を奪ったからだろう。
月城はもう一度部屋の方を見つめ、そして静かに目を伏せるとそっとその場から離れた。