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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第6章 あの月の頂で
梨央は月城を見上げる。
「月城…」
「縣様は本当にご立派なお方です。
男の私から拝見しても、あのようなお方になりたかったと心底憧れてしまうような素晴らしい紳士でいらっしゃいます。
そして何より、梨央様を海よりも深く愛していらっしゃいます。
…縣様とご結婚されましたら梨央様は必ずお幸せになられることでしょう。…私は梨央様には誰よりもお幸せになっていただきたいのです。
縣様なら…いえ、縣様こそが梨央様のお相手に相応しいお方なのです」
優しく諭すような…どこか自分に言い聞かせるような月城の言葉を梨央は最後まで聞く。
「…ええ。そうね。…私もそう思うわ。縣様は完璧なお方だわ。私みたいな未熟な娘を心から愛してくださり至らない私を丸ごと受け入れてくださる…私には過ぎたお方だわ…。
きっと私は縣様と結婚したら幸せになる…」
梨央は月城の目を見て離さない。
月城の僅かな表情の変化も見逃したくないのだ。
月城は梨央を包み込むように優しく穏やかに笑う。
「その通りです。どうか、縣様とお幸せになってください。それが私の一番の願いです」
梨央の中でなにかが昂まり、溢れて出した。
「…本当に…?本当に月城は私が縣様と結婚することを望んでいるの?」
月城の端正な眉が寄せられる。
「…梨央様…?」
「縣様と結婚したら幸せなれる…分かっているわ…でも…それでいいのかしら…?…私のこの切ない想いは…貴方を思うどうしようもなく甘く苦しいこの想いは…永遠に封印すべきなの?…でも私は…!」
月城の美しい指が梨央の唇に押し当てられる。
「…それ以上、仰ってはなりません…!」
梨央は首を振り、その手を握りしめる。
「いいえ、言わせて。今、言わなくては私は一生後悔するわ。…私は…月城を愛しているの。縣様のことはお慕いしているわ。月城に巡り会わなければ、多分迷わずに縣様と結婚したことでしょう。でも、私の中には貴方がいるの!貴方に出会った6歳の時からずっと…!貴方を想っている私がいる!」
月城は心が引き裂かれるような思いで、梨央の手を振りほどく。
「おやめください、梨央様…!」
心を鬼にして梨央に背を向ける。
月城に背を向けられても尚、梨央は心の全てをかき口説かずにはいられない。
「お願い…!貴方の本心を聞かせて…!」
梨央はありったけの勇気を振り絞り、月城の背中に強く抱きついた。
月城の身体がびくりと震える。
「月城…」
「縣様は本当にご立派なお方です。
男の私から拝見しても、あのようなお方になりたかったと心底憧れてしまうような素晴らしい紳士でいらっしゃいます。
そして何より、梨央様を海よりも深く愛していらっしゃいます。
…縣様とご結婚されましたら梨央様は必ずお幸せになられることでしょう。…私は梨央様には誰よりもお幸せになっていただきたいのです。
縣様なら…いえ、縣様こそが梨央様のお相手に相応しいお方なのです」
優しく諭すような…どこか自分に言い聞かせるような月城の言葉を梨央は最後まで聞く。
「…ええ。そうね。…私もそう思うわ。縣様は完璧なお方だわ。私みたいな未熟な娘を心から愛してくださり至らない私を丸ごと受け入れてくださる…私には過ぎたお方だわ…。
きっと私は縣様と結婚したら幸せになる…」
梨央は月城の目を見て離さない。
月城の僅かな表情の変化も見逃したくないのだ。
月城は梨央を包み込むように優しく穏やかに笑う。
「その通りです。どうか、縣様とお幸せになってください。それが私の一番の願いです」
梨央の中でなにかが昂まり、溢れて出した。
「…本当に…?本当に月城は私が縣様と結婚することを望んでいるの?」
月城の端正な眉が寄せられる。
「…梨央様…?」
「縣様と結婚したら幸せなれる…分かっているわ…でも…それでいいのかしら…?…私のこの切ない想いは…貴方を思うどうしようもなく甘く苦しいこの想いは…永遠に封印すべきなの?…でも私は…!」
月城の美しい指が梨央の唇に押し当てられる。
「…それ以上、仰ってはなりません…!」
梨央は首を振り、その手を握りしめる。
「いいえ、言わせて。今、言わなくては私は一生後悔するわ。…私は…月城を愛しているの。縣様のことはお慕いしているわ。月城に巡り会わなければ、多分迷わずに縣様と結婚したことでしょう。でも、私の中には貴方がいるの!貴方に出会った6歳の時からずっと…!貴方を想っている私がいる!」
月城は心が引き裂かれるような思いで、梨央の手を振りほどく。
「おやめください、梨央様…!」
心を鬼にして梨央に背を向ける。
月城に背を向けられても尚、梨央は心の全てをかき口説かずにはいられない。
「お願い…!貴方の本心を聞かせて…!」
梨央はありったけの勇気を振り絞り、月城の背中に強く抱きついた。
月城の身体がびくりと震える。