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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第6章 あの月の頂で
綾香は梨央を葡萄棚に柔らかく押し付け、梨央の顎を持ち上げ、ゆっくりとくちづけをした。
月城が側に控えていることも承知しているはずだが、気にする様子もない。
「…あ…ん…っ…おねえさ…ま…好き…」
熱愛している綾香に求められると梨央は素直に声を上げ始める。
快楽に酔い始めた梨央からくちづけを取り上げ
「…梨央…ねえ、口を開けて…」
極上の高貴な猫のように艶めいた眼差しで綾香は梨央に囁く。
綾香は手に持っていた苺を一口、口に含み口うつしでその甘く芳醇な果肉を梨央に与える。
「…ん…っ…甘い…」
「…美味しい?梨央…」
「…おいし…もっと…お姉様…」
「いいわよ…好きなだけ召し上がれ…」
綾香は再び禁断の甘い果実を梨央に与える。
快楽に酔い始めた梨央が、子供のように貪欲にねだる。
「…もっと…お姉様…もっと…キスして…」
「…食いしん坊ね…」
綾香は妖しく笑い、梨央の小さな顔を両手で包み込み濃厚なくちづけを存分に与える。
梨央の可憐な花弁のような唇と舌を味わいつつ、綾香のしなやかな白い手は梨央の白いブラウスに包まれた美しい曲線を描く乳房に触れる。
「…あ…っ…んん…」
優しく、次第に大胆に愛撫を繰り返す綾香に、梨央は喘ぎながら訴える。
「…お姉様…月城が…見てる…恥ずかし…」
梨央の潤んだ瞳と綾香の謎めいた妖艶な瞳が、離れた所に佇む月城を捉える。
綾香は月城を見つめたまま微笑する。
「…大丈夫よ…月城は見て見ぬふりをしてくれるわ…優秀な執事ですもの…」
月城は端正な顔を変える事なく静かに、美しい二人の姉妹の妖しくも麗しい愛の交歓を見つめ続ける。

…梨央は縣と婚約を交わした2年後、異母姉妹の綾香と巡り会い、運命的な恋に落ちた。
二人は姉妹と言う禁忌を超えて、激しく求めあい愛しあったのだ。
今まで静かに閉じられた世界で暮らしていた梨央の部屋の扉を大胆にこじ開け、外に連れ出したのは綾香だった。
綾香と梨央は失われた半身同士だ。
二人はお互いを激しく求め合い身も心も愛し合い、恋人となり…それからは片時も離れることはない。
二人は運命の恋人なのだ。

縣は潔く身を引き、梨央との婚約を解消した。
縣もまた、美しい二人の姫君を憧憬し、崇め、護り続ける立場を選んだ。
それは縣が綾香と梨央という稀有な美しくも妖しい魅力に満ちた姉妹に魅せられ、離れられぬほどの虜となったからなのだ。
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