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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第2章 My Fair Lady
昼食会が済み、一同はグランドピアノがある南向きの広めの客間に場所を移す。
梨央がピアノの演奏を披露する為である。
ここは元々、音楽好きな伯爵が音楽サロンを開けるように設えられた部屋で、伯爵が梨央の為にウィーンから取り寄せた素晴らしく美しく高価なスタンウェイのグランドピアノが置かれている。
梨央のピアノの腕は確かで、朝夕と真面目に練習する愛らしい姿を月城はいつも遠くから微笑ましく眺めていた。

伯爵と縣はゆったりとしたソファに並んで座り、梨央が改めて部屋に入ってくる様子に眼を細める。
今回は、使用人達も梨央の演奏を聴く許しが出た為、執事の橘を始め、梨央の乳母兼家政婦のますみ、伯爵の従者狭霧、下僕長の大、メイド長の茅野、そして月城が代表で後方の椅子に座り観覧している。

梨央は緊張した面持ちで皆の前に立ち、優雅におじきをしてピアノの前に座る。
…曲はエルガーの「愛の挨拶」
梨央の白くほっそりとした手が美しい音を奏で始める。
愛らしい花のような横顔は緊張の為か、いつもの恥じらうような笑みがない。

…梨央様、頑張れ。
「暗譜したばかりだから、自信ないの…」
と、今朝の朝食の席で不安げに月城に零していたっけ…。
梨央はピアノ教師も舌を巻く程のピアノの腕前なのだが、おとなしい性格からか人に見られると上がってしまい本来の力がなかなか発揮できないところがあるのだ。
それを克服させる為にも伯爵は今日のイベントを考えついたらしいが…。

月城が、祈るように見守っていると、ふと梨央の指が一音ミスタッチをしてしまった。
…はっと指が止まる梨央…。
顔は強張り、その愛らしい瞳は瞬きもせずに静止してしまっている。
梨央の小さな手が震えているのが、遠くからでも見えて月城ははらはらと、見守る。
…梨央様、大丈夫かな…。
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