この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第3章 月光庭園
「梨央様…どうされましたか?」
月城が声をかけると、梨央はブランケットから目だけを覗かせる。
潤んだ瞳がきらきらと輝いている。
「…梨央は、月城のようにきれいなお顔をしていないわ」
「え⁈」
月城は一瞬、耳を疑い絶句する。
「月城はきれいだもの。狭霧にも負けていないくらい」
「ま、まさか…!狭霧さんみたいに美しい男性はめったにいらっしゃらないのですよ。私など比べ物にもなりません」
梨央は首を振る。
「月城はきれいよ。眼鏡をかけたおめめも、高いお鼻も、優しい唇も…みんなきれい。…梨央は月城のお顔が大好き」
月城は自分の胸の鼓動を聞かれないように深く息を吐き、ランプの絞りを調整しながら話題を逸らす。
「…大人を揶揄うものではありませんよ。…さあ、もうお寝み下さい」
「本当だってば!」
梨央が月城の腕にとびつく。
寝台のスプリングが跳ね、梨央の身体がバランスを崩しそうになり、月城は思わず梨央を抱きとめた。
「…梨央様…!」
梨央はそのまま月城にしがみついた。
「…梨央は…月城が側にいると安心するの…お父様の次に月城が好き…だから…ずっと梨央の側にいて…?」
…僕は夢を見ているのではないか…。
梨央様が僕の腕の中にいて…僕を好きだと言ってくれた…!
月城は抗えぬ情動にかられ、梨央の小さく華奢な身体を強く抱きしめた。
…白薔薇の香り…!
梨央様の香りだ…!
…このまま梨央様を奪い去りたい!
僕だけのものにしたい!
縣様に…縣様だけには渡したくない…!
このまま…誰も知らないところに梨央様と二人で行くことができたら…!
「…月城…?」
抱擁の長さに不思議そうに月城を見上げる梨央と目が合う。
黒々とした高価な宝石のような瞳…
頬は薔薇色で、その小さな唇は薄紅色だ…。
月城は梨央の顔を引き寄せる。
長い睫毛…
吐息が触れ合いそうな距離…
類稀なる美しい少女の魔力に引き寄せられるように月城は唇を求めかけ、寸前で我に帰る。
…使用人は決してご主人様に恋してはならないのだ。
橘の声が頭を駆け巡る。
はっと梨央の無垢な顔を見つめ、慌てて梨央を押し戻す。
…僕は…!なにをしようとしたのだ!
「すみません…!梨央様。…失礼いたします」
月城はランプを手に、素早く部屋を出る。
「月城?どうしたの?」
梨央の声が追いかけて来たが、思いを断ち切るように扉を閉める。
月城が声をかけると、梨央はブランケットから目だけを覗かせる。
潤んだ瞳がきらきらと輝いている。
「…梨央は、月城のようにきれいなお顔をしていないわ」
「え⁈」
月城は一瞬、耳を疑い絶句する。
「月城はきれいだもの。狭霧にも負けていないくらい」
「ま、まさか…!狭霧さんみたいに美しい男性はめったにいらっしゃらないのですよ。私など比べ物にもなりません」
梨央は首を振る。
「月城はきれいよ。眼鏡をかけたおめめも、高いお鼻も、優しい唇も…みんなきれい。…梨央は月城のお顔が大好き」
月城は自分の胸の鼓動を聞かれないように深く息を吐き、ランプの絞りを調整しながら話題を逸らす。
「…大人を揶揄うものではありませんよ。…さあ、もうお寝み下さい」
「本当だってば!」
梨央が月城の腕にとびつく。
寝台のスプリングが跳ね、梨央の身体がバランスを崩しそうになり、月城は思わず梨央を抱きとめた。
「…梨央様…!」
梨央はそのまま月城にしがみついた。
「…梨央は…月城が側にいると安心するの…お父様の次に月城が好き…だから…ずっと梨央の側にいて…?」
…僕は夢を見ているのではないか…。
梨央様が僕の腕の中にいて…僕を好きだと言ってくれた…!
月城は抗えぬ情動にかられ、梨央の小さく華奢な身体を強く抱きしめた。
…白薔薇の香り…!
梨央様の香りだ…!
…このまま梨央様を奪い去りたい!
僕だけのものにしたい!
縣様に…縣様だけには渡したくない…!
このまま…誰も知らないところに梨央様と二人で行くことができたら…!
「…月城…?」
抱擁の長さに不思議そうに月城を見上げる梨央と目が合う。
黒々とした高価な宝石のような瞳…
頬は薔薇色で、その小さな唇は薄紅色だ…。
月城は梨央の顔を引き寄せる。
長い睫毛…
吐息が触れ合いそうな距離…
類稀なる美しい少女の魔力に引き寄せられるように月城は唇を求めかけ、寸前で我に帰る。
…使用人は決してご主人様に恋してはならないのだ。
橘の声が頭を駆け巡る。
はっと梨央の無垢な顔を見つめ、慌てて梨央を押し戻す。
…僕は…!なにをしようとしたのだ!
「すみません…!梨央様。…失礼いたします」
月城はランプを手に、素早く部屋を出る。
「月城?どうしたの?」
梨央の声が追いかけて来たが、思いを断ち切るように扉を閉める。